愛と幻想の薬物 覚醒剤【スマートジャンキーリポート12】

 

 

自分は覚醒剤を頭ごなしに否定するつもりは一切無い。自分も経験者だったから。

 

タバコ、アルコール、大麻、LSD、コカイン、覚醒剤などあらゆるドラッグに対して中立なスタンスでいたいと常に思っている。

 

全てのドラッグにメリット、デメリットがある。

 

いつだって使用するのは人間だし、過ちを犯してしまうのも人間。主導権は完全にこちら側にある。

 

だから自分は覚醒剤に限らず、何かの問題をドラッグのせいにするのは好きじゃない。

 

ただ経験上言えるのは、覚醒剤は他のドラッグと比べると上手く付き合うのが非常に難しい。

 

本人が覚醒剤と上手く付き合えていると思っていてもそれはただの思い込みで、側から見ると飲み込まれているなんてことは多々ある。実際そんな光景をよく目にした。

 

そして自分も覚醒剤に飲み込まれた側の人間だ。

 

今日は覚醒剤について真剣に向き合い、文章にしたのでぜひ最後まで読んでほしい。

 

「どこ行けばいいですか?」
「大久保の◯◯ホテル来て」

 

当時「パイセン」と呼んでいた人とよく一緒にいた。歌舞伎町でよく遊んでいた時に知り合った先輩。

 

ガタイの良いヤクザみたいな見た目をした覚醒剤愛好家の売人だ。

 

「何号室ですか?」
「〇〇号室だよ」
「分かりました」

 

大久保のホテルに親友と自分はよく呼ばれていた。このホテルは売人の巣窟。なぜだか知らないけど大久保には覚醒剤愛好家が多い。

 

「今日は何欲しいんだっけ?」
「罰とチャリ欲しいっす」
「今届けてもらうから待ってね」

 

他の人が届けに来るみたいだ。売人の都合で用意ができていないことや、待たされることは売人あるあるだ。そしてみんな決まって時間にルーズだった。

 

「まだ来ないすか?」
「まだっぽいなー」
「全然大丈夫ですよ暇なんで僕ら」
「遅くなりそうならアイスでも吸わない?」

 

アイスというのは覚醒剤の隠語。パイセンは知り合ったときから自分達と覚醒剤を一緒にやりたがっていた。パイセンは覚醒剤一筋の堅気な人だ。

 

なんとなく他のドラッグで満足するうちはやらなくてもいいかなと思って最初は敬遠していた。

 

ただこの頃になると正直MDMAもコカインもLSDも少し飽きがきていた。

 

飽きというのは本当に怖い。衝撃的な体験でさえ何度も経験すると必ず飽きが来る。

 

「今日はデビューしちゃいましょう」
「どうしたんだ急に」
「最初から興味はありましたよもちろん」
「てかアイスってどう吸えばいいんですか?」
「今日はデビュー戦だし特別に吸わせてやるよ」

 

そう言っておもむろに半透明の結晶が入ったパケを机の上に出した。

 

ライターの背を使い、テーブルの上で結晶を細かく崩す。

 

そしてストローで作った匙で結晶をすくい、ガラスパイプの中に入れる。

 

「ライターの火の赤い部分で炙ると温度が高くて焦がしちゃうからダメだぞ。青い部分で炙るんだ」

 

炙る時の豆知識を教えてくれた。そしてライターに火を付け、ガラスパイプを回しながら結晶を炙り始めた。

 

細かく刻まれた結晶がガラスパイプの中で踊り始めた。

 

すぐに半透明の結晶は液体に変わり、ガラスパイプの底に沈んだ。たちまち中から白い煙が登り始める。

 

細かくガラスパイプを左右に振りながら、ライターの火は器用に一定の距離感を保ってガラスパイプを熱する。すると白い煙の量が次第に大きくなっていく。

 

濃厚な白い煙が立ち上がり、少し甘い化学製品の匂いが充満する。

 

覚醒剤の煙はこれまで生きてきた中で見たどの白色よりも白い。

 

「吸っていいよ。ゆっくりと深く吸って息を溜めてみな」

 

口にガラスパイプを当ててもらい、言われた通り吸い込み、息を溜めた。

 

吸っている最中もガラスパイプの中で白い煙はまるで狼煙のように上がり続けていた。

 

するとその瞬間からぞくぞくと体の内部から外側に向けて鳥肌のようなものが立ち、後頭部まで包んだ。体の中を快楽が駆け巡る。

 

体が軽くなり浮遊感がすぐに出て空を飛べるような気さえした。

 

快楽の膜のような物に全身を包まれた。脳内の何かが弾け、髪の毛が逆立ち、毛穴が開く。

 

そして視界が明確に澄き通った。ぼやけていた現実がハッキリとした。

 

言うなれば覚醒剤は快楽の最上級にすぐ行ける片道切符だ。

 

自分が吸った後に親友も続いて吸った。

 

「お前どんな感じ?」
「最高。パイセン、もっと吸ってもいいですか?」

 

親友は炙るたびに多弁になった。もともとお喋りな奴だが、いつにも増して会話が止まらない。

 

マシンガントークだ。返事する暇さえ与えてくれない。

 

覚せい剤は元々思考がよく回るタイプにはめっぽう相性がいい。

 

俗に言う速いと呼ばれる人。親友はまさにそれだった。

 

「量足りないんじゃない?お前ももっと吸ってみれば?」

 

言われるがままに量を追加し、自分も効果が強く出てきた。

 

タバコを片手に会話をしていたのだが、気が付くと床に灰が落ち手元まで火種が来ていた。

 

普段は親友の聞き役になり自分のことをあまり話さないが、気がつくと覚醒剤を吸った自らの状態をペラペラと喋っていた。

 

この時初めてハマるという感覚を味わった。

 

昔から飽き性で何かに没頭するという経験をしたことが無かったので、この感覚は新鮮だった。

 

そしてこの後は売人の溜まり場にしていた民泊に行った。

 

部屋の中央のテーブルには大量のドラッグと天秤と小分けにする袋が置かれていた。

 

そこでは延々と鏡を見て眉毛を抜いているT君。スマホでずっとインカジをやっているR君。

 

すぐにピンクに入ってビデオボックスに行ってしまうK君。Twitterで女の子にDMをひたすら送っているM君。出会った男とすぐに寝るNちゃん。

 

このコミュニティで狂った日常を送ることになる。そして覚醒剤の深い沼にのめり込んでいく。

 

その日は家に帰って初めての切れ目に襲われ、浴槽に入り緑茶を大量に飲みながら覚醒剤の抜き方を必死で調べた記憶がある。

 

覚醒剤に嵌っていた時のことを思い出すと、「普通」とは対極にある生活をしていた。

 

普通に過ごすのが嫌いだった自分は最初はとてつもなく楽しかった。

 

そして覚醒剤に溺れると共に性にも溺れた。覚醒剤と性の関係はとても密接だ。

 

その日出会った女性と覚醒剤を手にし、ホテルで三日間を共にしたなんてこともある。

 

普通の神経をしていたらそんなことはあり得ない。覚醒剤の闇へ向かうスピードは加速していきどんどんと飲み込まれていった。

 

親友とも女性関係で大きく揉め、仲が決裂しそうになったことがある。それ以外にもあらゆるトラブルが絶えなかった。

 

メンヘラで凄く振り回されて疲れるけど、会えると物凄く楽しい。精神がおかしくなってしまうくらい。

 

会えない時は常にその子の事ばかり考えてしまう。

 

異性に例えるとしたら覚醒剤はまさにそんな存在だ

 

覚醒剤で人生が良い方向に向かった人は自分の周りにはいなかった。自分がやっていた時に関わった人間は一人残らず堕落していった。

 

覚醒剤は人が消える。マジックのように。

 

それは逮捕だったり本当にどこかに行ってしまったり。自分がいたコミュニティにも内偵捜査が入り続々と捕まって大半が消えた。

 

「薬物の使用は自己責任だ」とか言うけど責任の意味は真剣に考えた方がいい。

 

責任ってのは自分一人の責任ではない。周りの人間への影響まで含めた責任だ。

 

簡単にいうと「薬物を使用することで周りの人間に与える影響」までが自己責任の範囲だと自分は考えている。

 

つまり自己責任とは自分だけで完結するものではない。

 

そこまで真剣に考えた上でやるかやらないかの判断をしてほしい。

 

とは言っても一度持ってしまった好奇心を他人からの言葉で止めるのは難しい。

 

自分もそうだったから気持ちは本当によく分かる。

 

最後は本人次第。

 

でもこの記事の内容は絶対に忘れないでほしい。

 




このドラッグリポートは副作用も無く極めて事実に近い薬物体験を楽しむことができます。

※この物語は全てフィクションです。違法薬物の使用、犯罪行為を助長するものでは一切ございません。

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