ご報告があります。

 

 

自分はこれからカンナビノイド業界に参入することに決めました。

 

このタイミングで参入を決めた理由は、自分なら業界を広げる活動ができるという自信があり、自分の力を試してみたいと思ったからです。

 

精神作用のあるカンナビノイドはこのままだと規制が厳しくなる一方で、最悪の場合はCBD系も規制される恐れがあります。

 

でもこれは業界の動きを見ていると販売方法の問題で、物質にも消費者にも一切非はないと考えています。

 

最初から販売業者が高濃度リキッドやエディブルの販売方法に気をつけていれば、規制はこのスピードで進んでいなかったでしょう。

 

そして、カンナビノイドが危ないものだというイメージを一部の方に植え付けてしまうことも無かったはずです。

 

常にそれはツイッターでも言ってきました。

 

だからこそ、自分は業界の事や消費者、販売方法、取り扱い成分を十分に考慮し、初回は低濃度のHHCPリキッドとCBNリキッドの販売から始めることにします。

 

ブランド名は

 

 

 

カンナビノイド業界に参入するにあたって、自社が決めたルールが以下の5つです。


・精神作用のある高濃度リキッドは売らない
・精神作用のあるエディブルは売らない
・精神作用のある物質を扱うのは時期を見て撤退
・サイケ系(1dlsd等)は売らない
・業界を狭める売り方はしない

 

これらのルールを必ず守り、ユーザーと共にカンナビノイド業界を発展させていきたいと思います。

 

このタイミングでリキッドを販売することに決めた理由は二つあります。

 

一つはブームによってカンナビノイドユーザーはたくさん増えましたが、規制が進んでいるのが現状です。

 

ですが、精神作用のある物質を使うユーザーはすぐに辞める動きを取りづらいと思います。

 

そうした方々に手に取ってもらい、除々に規制の恐れがある物質から規制の恐れのない物質に移行していっていただきたいと思っているからです。

 

もう一つは今出回っている数ある商品を手に取れるだけ取りました。

 

そして自社の商品と比較し、この商品なら他社の商品と比べてもらっても間違いなく自社の商品の方が良いと思えるものがやっと完成したからです。

 

リキッドの良さは原料とカンナビノイドの組み合わせ、製造方法によって変わるもので、数ある原料会社から原料を試し、配合に関しても無数に試作品を作って試しました。

 

もちろん厚生労働省の許可を得て通関した、正規輸入原料のみで作っています。

 

そして完成したHHCPのリキッドは数ある他社製品と比べると濃度の低いもので、健康への影響は少なく、抜け方も比較的きれいで、マイルドな効き方を楽しんでいただけます。

 

CBNのリキッドに関してはリラックスしたい時や、食事前、睡眠、切れ目、などなど様々な状況で手に取って頂けるようなリキッドに仕上がりました。

 

価格もお客様に手に取って頂くために大手他社と比較すると手に取りやすい価格にしたので、ぜひ一度試してみてください。

 

https://saintsmoke.tokyo/

 

そして、ここから先は今後の展望の話ですが、このビジネスで稼いだ資金は主に

 

・自社商品の品質向上に再投資
・アパレル制作
・クリエイターの支援

 

に使おうと考えています。

 

今後、精神作用のある物質が完全に規制されてしまった場合、カンナビノイドユーザーは行き先を無くしてしまいます。

 

そうなった時のために手に取っていただけるよう、CBD系の商品の開発に注力しようと考えています。

 

現在開発中のCBNハーブは、精神作用のある物質を好む方にも手に取ってもらえるような商品作りをしています。

 

また、世間を賑わせてるラッパーとのコラボ商品も進めている段階なので、楽しみにしていただけたらと思います。

 

そして新たにドラッグ系のアパレルも始めることに決めました。

 

今、考えているデザインの中から一例をお伝えすると、パーカーの袖を捲くったらバッドトリップに入った時に戻ってくるための言葉が書いてあるデザインなど、面白いアイデアがたくさんあるのでそれらを形にしたいと考えています。

 

自分はデザインやモノ作りに興味があるので、クリエイターを支援する活動も始めていきます。

 

その一環として応援したいクリエイターのキャンドルを購入しました。

 

今回はこのキャンドルをリキッド購入者の中から抽選で5名様にプレゼントします。

 

 

 

抽選対象者は12/24までにご購入いただいた方のみが対象になりますので、予めご了承ください。

https://saintsmoke.tokyo/



こうした間接的なクリエイター支援も含め、今回だけではなく継続的に行なっていきます。

 

クリエイターを応援する活動を始めようと思ったのには理由があります。

 

自分も自分が作ったものが人に評価されなかったり、見つけてもらえないがために悔しい思いをしたことがこれまでにたくさんありました。

 

特に最近のSNSを見てると、数字が多い人が作っただけで良いものとして見られる風潮が強く、本当にいいものが評価されにくかったり、見つけてもらえなかったりする時代になっている気がします。

 

そして、自分を見てくれている人は少し普通の人とは違う生き方をしてきたり、普通とは違う感性を持っていたり、そんな人が多いと思います。

 

人とは違う感性を持っているがゆえに社会に順応できなかったり、生き方や考え方、行動を変えていかなければならないことが生きていると嫌になるほどあります。

 

でもそうしてしまうことで自分だけの価値や個性を内に閉じ込めてしまう。

 

それはもったいないし、素敵な感性を持っている人が陽の目を見ないのは凄く残念なことです。

 

そうした思いもあって個性の光るクリエイターを応援する活動を始めようと思いました。

 

最後に、この業界に意見をするのであれば自分が動いていかなかればいけないというスタンスが自分には欠けていました。

 

他人の主張に批判をしていた時期もありましたが、批判をするだけで動かないのでは何も変わりません。

 

この業界を変えるために自分は自分の知識と経験を活かせる自信があります。

 

なのでぜひ応援して頂けると嬉しいです。

https://saintsmoke.tokyo/

 

不定職者の日常【スマートジャンキーリポート16】

 

 

「巨大なガンコロ入ったよ、早くヤサ来いよ」

 

体に激痛が走り、ガラスパイプを手に取って炙る。

 

寝起きの覚せい剤は猛烈に不味い。でも覚せい剤を炙らないと体が痛くて起きることができない。

 

この時の自分は3日間起きて2日丸々寝るという変な生活をしていた。

 

覚せい剤使用者にありがちな生活リズム。

 

商品の仕入れがあったのでアジトとして使っていた民泊に向かった。

 

「お疲れ」
「今回のどうですか?」
「めっちゃええで、100gあるけどもう予約で埋まっとるわ」

 

入荷した商品は覚せい剤。

 

覚せい剤の形状も色々あるけど100gクラスの量を取った時は塊で来ることが多かった。

 

ジップロックに大きな塊がゴロゴロと入っている。仕入れた段階で細かいものはこれまで見たことが無い。

 

使っていた民泊のテーブルにはいつも大きな電子天秤と大量の麻薬が置いてあった。大麻、LSD、MDMA、コカイン、覚せい剤。いつも全てのものが揃っていた。

 

仕入れの資金は売人のリーダーがまとめて出していた。それを毎日毎日売人が客に小分けにして捌いていく。

 

自分は売人が薬物を捌いている光景をいつも傍から見ていた。

 

「これいくらで仕入れたんですか?」
「g7000円やな」
「物良いのに安いっすね」
「そうやろ。すぐ無くなるで」

 

基本的に民泊に居たのはリーダー以外みんな末端の売人。

 

末端の売人に大きな注文が入ったらリーダーがその案件は直接受ける感じだった。

 

当時仕入れたものだと、覚せい剤100gがg7000円なので仕入れ値は70万円。

 

今は覚せい剤が高いけど昔はかなり安かった。

 

100gを小売の売人が0.5gで15000、1gで25000で客に売る。

 

これは目安で、取れる客からは1gあたり5000円くらい上乗せして取っていたと思う。
利益はリーダーと売人でだいたい折半。

 

なので0.5売ると約6000円ずつの利益。1gの場合だと約9000円ずつの利益。

 

これが最低の利益で高く売れたら+2000~3000円追加される感じ。

 

この覚せい剤100gが捌けた時に150〜200万くらいの利益が上がってそれをリーダーと売人で分ける感じになる。

 

良いものだとほんの数日で全て無くなる。

 

たまにマブネタと呼ばれるすごく良いものがあって、それはプッシャーでも買うのに1g3~4万する。

 

それはとにかく質が良くて少量で背筋までゾクゾクと効く良いものだった。

 

でも良い物は末端の消費者には絶対に回ってこない。

 

消費者に回る前にプッシャーが消費するから。

 

「そういえば友達が罰と紙欲しいって言ってたんですけどありますか?」
「あるで。罰なんて1000発くらい在庫あるわ」
「5個もらっていいですか?」
「今日儲かったから1万円でええで」

 

リーダーはMDMAを凄く安い値段で取っていた。良いパイプが合ったんだと思う。いつも大量に持っていた。

 

仕入れ値は1000~1500円くらいで売人には2500~3000円で卸していた。

 

客には5000円くらいで売るから1個あたり3500~4000の利益。

 

MDMAは1個に対する利益は小さいけど好きな人が多いからとにかく量が捌ける。

 

大量に在庫を抱えてもすぐに無くなって他の銘柄に変わっていた。

 

自分も最初ドラッグにのめり込んだのはMDMAからだったし若い人はみんな好きな印象がある。

 

「この角砂糖なんですか?」
「これはLSDやで」
「LSDって紙じゃないやつもあるんですね」

 

LSDは元から紙に染み込んでいるタイプと液体のタイプがあった。

 

元から紙に染み込んだ状態のLSDはインポートだから質がいいとか言われていた。

 

自分は効けば何でも良かったからあまり良く分からなかったけど。

 

LSDは100回分のボトルに入った液体を7~10万円とかで取っていたのかな。

 

自分がよく食べていたのは角砂糖に垂らされたタイプ。

 

グミとか紙とか色々あったけど角砂糖が一番よくLSDの液体が染みる。

 

10滴くらい垂らされた角砂糖を食べて大変なことになることもよくあった。

 

LSDも5000円くらいで客に売れるので、売人に卸す金額はMDMAと同じような感覚で、利益も似たようなものだった。

 

「最近チャリンコは調子どうですか?」
「チャリは良いのあっても高いな」
「安いチャリンコって全然良いの無いですよね」

 

コカインは特に質の良い物と悪い物の差が激しかった。自分はコカインの目利きをよく任されていた。

 

仕入れの値段がだいたい1g10000~12000円くらい。自分はコカインの仕入れを手伝っていたので毎回タダで貰っていた。

 

売人には16000~18000円くらいで卸していた。

 

コカインは人によって混ぜ物をする人としない人がいる。

 

売人のリーダーはクレームが来ないように混ぜ物をせず売っていた。けど末端の売人は混ぜ物をして売っている人が多かった。

 

コカインを捌ける末端の売人は儲かっていた印象がある。混ぜ物で量を増やすとその分丸々利益になるから。

 

売り値は今の相場と変わらなくて1g23000〜25000円くらい。

 

売人の利益には客の質も関係してくる。特に覚せい剤は客の質が悪い。

 

自分も覚せい剤をやっていたのにこんなこと言うのも何だけど、覚せい剤はお金の持っていなさそうな客ばかりだった。

 

みんな金が無いし身なりもあまりよろしくない。金があって綺麗に遊んでいる人なんて本当に極一部だった。

 

その点コカインは客の質が良かった。良い客だと数十gが一気に売れるし、コカインは客が消費するスピードも早くて注文がすぐ入る。

 

「そういえば大麻全然ないねん」
「最近全然いいの無いっすよね」

 

大麻も物によって値段がかなりバラツキがある。安いものはキロで1200円とかで仕入れられる。

 

インポートとか国内栽培の質の良い物は100gでも3000円くらいする。キロだと2200〜2500くらい。

 

小売価格は、質の悪いもので4000円とかで良いものは6000円とかでも売れる。

 

大麻ほどわかりやすく値段と質が比例するドラッグもなかなか無い。

 

大麻は特に安くて質の悪いものは捌けないし、高くても質の良いものは捌ける。

 

これはどの薬物にも言えることで、安いものが高いものより良いなんてことはまず無い。ちゃんと理由があって値段が付けられている。

 

色んな大麻を吸ったけど日本国内で栽培してる上手な人の大麻が一番美味しかった。

 

売人もそれはよくわかっていると思う。インポートはなんだかんだ質にバラツキがある。

 

大麻は大麻が好きな人が良い物を持っているから、良い大麻が欲しい人は大麻好きと繋がるといいと思う。

 

売人は大麻の安定した仕入先を欲しがる。よく売人のリーダーは自分に栽培をやらないかと勧めた。

 

それがキッカケで後々大規模な大麻栽培を始めることになる。

 

自分はこの時は風俗とキャバクラのスカウトの仕事をやっていた。

 

売人達とは違うフィールドに居たから仲良くできたのはあると思う。

 

商売で関わるとトラブルも増えるしリスクも大きくなる。

 

接していた売人は基本金が無かったけどたまに飛び抜けて稼いでいる人はいた。

 

末端だとおそらく月に50万円も稼げていない人だらけ。しかもみんな金を稼いでも薬、女、ギャンブルに使ってしまう。

 

でも稼いでいる人はいた。予想だけど売人のリーダーや他のグループで力のある人は月に500万くらい稼いでいたと思う。

 

そういう人達はみんな組織を作るのが上手でビジネスのセンスがあった。

 

大麻農家に出資したり、使える人間を他のグループから上手く取り込んだり、暴力団と密に付き合って仕入先、販売先を広げたり。方法は人それぞれ。

 

狂った人間が多かったけど普通に生きていたら関わらない人達の価値観を知れた。

 

そもそも普通に生きるというのも、何が普通かなんて人それぞれだ。

 

世の中は自分にとっては普通だけど他人にとっては狂ってることだらけ。逆も同じ。

 

普通なんてのはその人が勝手に作り上げたイメージで、妄想でしかない。

 

これは狂った生活で得た学びだった。

 

 

※この物語は全てフィクションです。違法薬物の使用、犯罪行為を助長するものでは一切ございません。

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僕には何もわからない【スマートジャンキーリポート15】

 

 

「着いた頃には曲がってるだろうな」

 

新幹線の中で小さな紙の破片を口に含んだ。

 

親友と二人熱海に向かっているところだった。

 

事前に貸切タクシーのコミネさんに連絡をし、この日も予約を取っていた。

 

JR熱海駅の改札をくぐると白髪の老人が手を挙げて立っていた。

 

「いい天気になってよかったよ」
「コミネさんのおかげですよ」
「とりあえずタバコでも吸おうよ」

 

LSDをやっている時のタバコは格別に美味い。

 

駅前の喫煙所で今日の作戦会議を始めた。

 

「今日どこ行く?」
「僕らどこでも楽しめるんでどこでもいいですよ」
「この前熱海だったし伊豆方面でも行ってみようか」
「強いて言えば高いところ行きたいです」

 

LSDをやっている時はなぜか高いところに行きたくなる。

 

タクシーに乗り込み、窓から映る山脈が徐々に窓枠に切り取られた油絵のように変わっていく様子が熱海に来ていることを実感させた。

 

「どこ向かってるんですか?」
「大室山ってとこだよ、リフトに乗って山頂まで行けるし見晴らしが良い」

 

しばらくタクシーに揺られながら外を眺めていると巨大な緑色のスライムのような山が現れた。

 

話を聞くと君の名は。のモデルになっている山らしい。よく似ていた。

 

「リフトがあるから乗ってきなよ、俺は歩くの疲れるから下で待ってるよ」

 

リフト乗り場が見えたので、親友と二人リフトに乗り込んだ。

 

リフトの中はスペースシャトルに乗っているような感覚に襲われた。

 

山頂に降りるとジブリに出てくる映画のような緑と青と白の原色だけで塗られた世界が広がる。

 

空はとても綺麗なのに、なぜだか雲は途方に暮れているように見える。

 

あまりにも空は広い。そして道があるわけでもない。

 

どこに向かえばいいのか分からず彷徨っている。

 

まるで自分と同じ動きをしているようだった。

 

雲を見ながら山頂を一周していると急に五体の地蔵が現れた。

 

座禅を組んだ地蔵達にこちらを見ていた。足が止まる。

 

じっと様子を見ているとどこからか「分かったつもりになるな」と聞こえた気がした。

 

「今なんか聞こえた?」
「聞こえないけど」
「気のせいか」

 

不思議そうな顔で自分を見る親友がいた。

 

気にしないでくれと言い、また歩き出した。

 

そして帰りのリフトに乗り込み、コミネさんの待つ場所に戻った。

 

iPhoneケースに隠していたLSDを取り出し口に含みタクシーで次の目的地に向かった。

 

「どうだった?」
「景色良くて最高でしたよ。次はどこに行くんですか?」
「蝋人形の館ってとこがあってね、楽しいと思うよ」
「いいですね」

 

追加したLSDの効果を感じながらまたタクシーで揺られて蝋人形の館に到着した。

 

館の前にはジャッキーチェンが立っていた。今にも拳が飛んできそうな風体だ。

 

館内に入り、メキシコ人の館長に案内され通路を進んだ。

 

最初に出てきたのはギネスブックに載っている人達。

 

遠近感がおかしくなった目に3メートル近く身長のある巨人が映ると自分が小人になったような感覚になる。

 

自分の膝までくらいしか身長が無い世界一小さい小人がいた。次は自分が見上げられて巨人になったような気分で目が忙しい。

 

少し歩くと歴史上の偉人が出てきた。通路の両サイドにずらりと座っている。

 

戦国武将達からは覇気のようなものを感じる。みんな険しい表情。

 

織田信長の顔は他の武士たちより少し余裕があった。

 

次に出てきたのが映画シリーズ。ターミネーターが出てきたり、猿の惑星の猿が怪しげな顔をして集団でいたり。

 

奥にいたのはベッドの上にゾンビみたいな顔をした少女。エクソシストだ。

 

「おい、今の見たか?」
「どうしたの?」
「絶対首回ったんだけど」
「嘘つくなよ怖いって」
「本当だって見てろよ」

 

断末魔を上げているかのような顔をじっくりと眺めていると首が一周した。信じられなかった。

 

一瞬視界が真っ暗になって嫌なところに入る。

 

二人して幻覚を見てしまったのかもしれない。

 

あの人形だけにそういう仕掛けがあるんだと自分を思い込ませて乗り切った。

 

最後に現れたのは最後の晩餐。

 

一目見ただけで空気感が変わった。

 

「なんか飲み込まれそう」
「不穏な空気漂ってるね」

 

12人それぞれの思惑が入り乱れているのを感じ取って胸がざわついた。

 

何かを議論している者、何かを懇願しているよう者、耳打ちをして話しかけている者、それぞれが何かを訴えようとしていた。

 

最後の晩餐はキリストが処刑される前日に裏切り者が中に紛れている作品。

 

その程度の知識しか無かったけど、それでも直感で不穏な空気を感じた。

 

「誰が怪しいと思う?」
「全然わかんないや」
「死んだ人の気持ちなんてわかるわけないか」
「生きてる人の気持ちでさえわかんないよ」

 

キリストの顔は寂しそうな表情をしていた。

 

裏切り者がいたからだろうか。処刑される前だからだろうか。

 

背景は分からないけど孤独を感じた。

 

人間は生まれてから死ぬまで孤独だと言われているような気がした。

 

思慮にふけっていると時間感覚がなくなってしまっていた。

 

親友に声をかけられて正気に戻る。

 

館内の蝋人形を見終えてからは締めにメキシコ人の館長とラテンダンスを踊った。

 

メキシコ仕込みのラテンダンスはもやついた気分が少しだけ晴れた。

 

「楽しめた?」
「最高でした」
「若い子が喜ぶようなとこじゃないんだけどね」
「僕ら楽しみ方知ってるんで」

 

その後は旅館まで送ってもらってコミネさんとはここでお別れ。

 

旅館に着いてからは巻いてきたジョイントを一本持って近くの港に向かった。

 

海辺を眺めながらOGクッシュの爽やかな香りに身を包んだ。

 

「今日はどうだった?」
「んー、うまく言葉にできない」
「そういう日もあっていいんじゃないかな」

 

 

自分はいつも選択肢を残す選択を取ってきた。

 

選択できることが自由だと思っていた。

 

何かに縛られるのは苦手だった。

 

だけど、自由でいたいという思いは気がつくと自由でいないといけないという縛りに変わっていた。

 

自由に生きるのは多分孤独だ。

 

色々と手放さないとなれないものなのかもしれない。

 

これも合ってるかどうかなんて分からない。

 

わかったのは自分には何もわからないということだけ。

 

 

※この物語は全てフィクションです。違法薬物の使用、犯罪行為を助長するものでは一切ございません。

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高層階の陰【スマートジャンキーリポート14】



「おう、ちゃんとシャブ抜いてきたか?」
「バッチリ抜けてます」

 

いつもの民泊のアジトではなく新宿の高層ホテルに呼び出されていた。

 

この日は取引があった。当時自分は売人では無かったが、たまに取引の手伝いをしていた。

 

それはコカインの目利き。鼻から吸うから鼻効きとでも言うのかな。

 

コカインは質の良いモノと悪いモノの差が非常に大きい。

 

混ぜ物はよくある話だし、酷い業者だとコカインと似た効き方をする別の物質を渡す詐欺もある。

 

コカインは純度を確かめるためにクラックという高純度の物質を作る方法がある。これはパイプに入れて炙って吸える。

 

そしてクラックを作ると純度を測ることができる。

 

でもコカインは結局鼻から吸う客が多い。

 

ある程度の純度を保っていれば鼻から吸って確かめたほうが良いというのが売人のリーダーの方針だった。

 

そうは言っても後で純度の確認はしていたと思うけど。

 

そして自分がコカインの目利きを任されていた理由は売人グループの中で鼻が利いたからだ。

 

覚せい剤をやっているとコカインが効き辛くなる。

 

理由は覚せい剤の方が効果が強いからだ。覚せい剤ユーザーはコカインの良し悪しがわからない人が多い。

 

なのでこの日は売人のリーダーから「シャブを抜いてから来い」と一週間前から言われていた。

 

「今日は大丈夫そうか?金額デカいから頼むで」
「大丈夫です」

 

呼び出されたのは新宿の高層ホテルの27階。安いホテルだとセキュリティ面で不安があるため大口の取引の際はよくここを使っていると聞いた。

 

数十万円の取引ならよく手伝っていたけど、この日は約八百万円の取引。

 

直前に売人のリーダーに大口の注文が入っていて、その商品の仕入れにあたる取引だった。

 

口では大丈夫と言ったものの初めての大きな取引に内心はかなり緊張していた。

 

リーダーは気さくで優しい方だったけど商売のことになるとめちゃくちゃ厳しい。不良はみんなそうだ。

 

自分は不良ではないし、下手を打った時のことを考えると気持ちは落ち着かなかった。

 

「今日の取引先はどういうとこなんですか?」
「今日のとこは中国系の不良グループや。よう六本木とかにおるわ」
「いつもの歌舞伎の黒人じゃないんですね」
「あいつパクられてさ」

 

コカインは国内で製造できないので必然的に海外から密輸しなければいけない。

 

個人で大量のコカインを密輸するのは難しい。なので外国人グループが持っているケースが多い。それか暴力団。

 

一般の日本人が持っているケースもあるが、元を辿れば外国人か暴力団がほとんど。

 

コカインは特に黒人が強くて覚せい剤なら中東系が強い。暴力団は全ての薬物において強い。

 

そこから売人達を携えた半グレに薬物が渡って販売が行われている。

 

自分がリーダーと呼んでいた人は半グレのポジションだった。

 

「もしもし。着いた?〇〇号室のピンポン押して」

 

相手が来たみたいだ。

 

「お疲れ様、最近調子どう?」
「結構売ってるで、草もシャブもチャリも全部」

 

取引相手は短髪のガタイの良い中国人。

 

シャツの袖から指先まで入った入れ墨が見えて気になったが目を伏せた。

 

「今日2種類あるから選んでよ」
「言っとったな、値段も変わるん?」
「安いのと高いのがある。評判はどっちも良いよ」
「俺チャリ吸わんから若いのに試してもらうわ」
「わかった、ちょっと用事あるから一回出るね」
「これどっちがどっちなん?」
「印付いてる方が高い方で無い方が安い方」
「じゃあ決めたら電話するわ」

 

二種類のパケを机に置いて中国人は部屋を出た。

 

パケの中を見るとどちらもブロック混じりの白い粉末。

 

開けてみるとどちらも強く臭った。一つはガソリン臭のするものでもう一つはコカイン独特の足の裏のような匂いのするもの。

 

見た目と匂いだけで判別が付くこともある。自分の経験では足の裏のような匂いのするものは良いものが多かった。

 

「鏡あっためとくから砕いときや」

 

コカインは熱した鏡の上で吸うと湿気で粉末が固まらないので吸いやすい。

 

年密にコカインの粒が入ったパケをライターの尻で潰していく。

 

サラサラした部分も少ないし見た感じだと混ぜ物はなさそうだった。

 

「吸ってみますね」

 

カードで再度細かく砕き万札を丸めスーッと音を立てて吸い込む。

 

鼻への馴染みも良い。少し経って体温が上がり始める。

 

「どうや?」
「良いと思います。もうちょっとだけ時間下さい」

コカインの効きはすぐには分からない。経験上、良いコカインほど後で効いてくるケースが多い。

 

「まあまあですかね。効きが落ちたらもう一つも吸ってみます」

 

鼻の奥に苦いものが落ちてきてから少し経ち、効きが落ちたのを感じたのでもう一つの印が付いてあるパケを手に取った。

 

再度コカインを鏡の上に出し、カードで細かく砕き丸めた万札を手に取って吸い込んだ。

 

「こっちのほうが高いって言ってたな」
「言ってましたね。吸った感じはこっちも良さそうです」

 

良いコカインは基本的に鼻に馴染む。吸ってすぐ鼻に違和感を感じたり痛みなどが出るものは基本不純物のせい。

 

判別できなかったらどうしようという不安を抱えながらコカインの効きを感じていた。

 

「どうかな?」
「まだ効いてるんでもうちょっとだけ時間下さい」

 

鼻に入れた時の効き方はナチュラルな上がり方がした。だが数十分経って視界がクリアになりコカイン特有の陶酔感に襲われた。

 

良いコカインはやはり後からの効きが強い。そして効き目がなかなか落ちない。良い物だと2時間くらい効果が続く。

 

よく日本のコカインはダメという人がいるけど、それは良いものを取るルートを持ってないだけ。

 

繋がりがあれば別だけど、数個取っただけのコカインが良いことはほぼ無い。コカインはまとまった量を取って初めて純度が約束される。

 

「圧倒的にこっちの方が良いと思います」
「なんで?」
「後から効いてくるし効きがかなり長いですね」
「高い方か、まあお前が良いって言うならこっちにしとくか」

 

経験上どの薬物も安いものが良いことは本当に少ない。良いものは他より必ず高い。

 

薬物はいつも安かろう悪かろうだ。理由があって値段が付けられている。

 

この後リーダーは中国人に電話し、程なくして部屋のベルが鳴らされた。

 

「持ってきたよ」
「ありがとな。これ現金ね、物の確認だけするわ」

 

渡された紙袋を開けると熟成されたチーズのような塊が何十個も入ったジップ付きの袋が出てきた。

 

それと現金が交換されて取引が成立した。

 

コカインが同一のものかどうか確認だけ済ませると、中国人は足早に外に出ていった。

 

去り際に中国人が自分を見た視線が「ここはお前の居場所じゃない」とでも語っているような気がした。

 

自分が勝手にそう感じただけかもしれない。

 

少しの高揚感と共に、段々と深いところに嵌ってきてしまっている自分に嫌気のようなものも感じ始めていた。

 

払い除けるためにガラスパイプの中の濁った結晶へ新しい結晶を足した。

 

報酬の現金を眺めて胸を撫で下ろし、部屋でまた独り氷を溶かした。

 

 

※この物語は全てフィクションです。違法薬物の使用、犯罪行為を助長するものでは一切ございません。

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白く澄んだ青春【スマートジャンキーリポート13】

 



 

「今日何日目ですか?」

 


覚醒剤ユーザーは全然寝ない。

 


何日間起きているかという話題から会話は始まる。覚醒剤ユーザー同士の挨拶みたいなもんだ。

 


自分と親友は売人がアジトとして使っている民泊へよくお邪魔していた。

 


売人は民泊を住処にする。ホテルでもいいけど人の出入りが激しいと怪しまれやすいしカメラもある。

 


民泊は飛ばし携帯のウェブカードで決済ができるので足がつきにくいのが大きな利点だ。

 


自分達は覚醒剤をガッツリ遊びたい時だけ使うというルールを決めていた。

 


覚醒剤に浸かり切ってる人達を間近で見ていて、やりすぎると良くないなと思うことは多々あった。

 


自分達も最初はうまく付き合えていたつもりだったがそれもそのうち崩壊した。

 


覚醒剤は数日間起きて遊ぶことができる。その分、体や精神面への負担は他の薬物と比べると遥かに大きい。

 

この頃は親友も仕事を辞めていて、自分は仕事をしていなかったのでほぼ毎日ドラッグ遊びをしていた。

 


売人のアジトにはリーダーと呼ばれる人がいて、その人がヤクザから覚せい剤を安く卸してもらい売人が売り捌くという流れだった。

 


その当時の覚醒剤の相場はまとまった量を取れば1g7000〜8000円とか。それを若い衆がリーダーから買って客に売るという構図。

 


自分はこの時は売人をやっていなかったので傍で見てるだけだった。

 

たしかまとめて取った覚せい剤を売人が0.5gで15000円、1gで25000円くらいで客に売っていたと思う。

 

最初の頃は覚醒剤を毎日使うわけではなく、遊びたい時に使うというラフな付き合い方をしていた。

 

本当はコカインが好きだったけど毎日吸うと高いし、そもそも良いコカインがあまり無いので覚せい剤をやることが次第に増えていった。

 


覚醒剤1gを二人で取って一回の遊びで使い切るという使い方をしていた。一回といっても覚せい剤は効きが長いので何日にも渡って遊べる。いつも三日か四日は起きていたかな。

 


この頃になると覚醒剤を炙るのも手慣れたもんだ。

 

慣れた手付きで砕けた覚醒剤をガラスパイプの中に入れ、ガラスパイプを目の前で左右に振りながら火を灯す。

 


すると覚醒剤が溶け、真っ白な煙が立ち上がり、深く吸い込み吐き出す。これを何度か繰り返すと次第に頭は澄んで体はぽっと宙に浮いたように軽くなり元気が出る。

 


「ライターの火は最小にしてシャブが焦げんようにな。青い部分で炙るんやで」

 


これがリーダー教え。リーダーは関西弁の気のいい兄貴みたいな存在だった。

 


いつも覚醒剤の煙で白く濁り、息を止めたくなるような空気の悪い部屋に自分達はいた。

 

 

アジトに行った時は購入しに来る客や売人たちと世間話をして時間を過ごしていた。

 


覚醒剤ユーザーの話はとにかく長い。「まだ終わらないのかこの話は」と何度も親友と目を合わせて笑ったことがある。

 


しかも本人は話している最中に内容を忘れてしまっていることもよくある。

 

「結局何の話なんだこれ?」なんてよく思ってた。覚醒剤ユーザーはみんなお喋りとジョークが大好き。

 


アジトの中まで入ってくるのは基本売人。末端のお客さんは外の指定場所に呼んで手渡ししていた。

 


女は基本的に男と買いに来ることが多い。だがアジトに何度も出入りしているうちに別の男と親密な関係になってしまう。

 

そして元々一緒に来ていた男と揉める。これが頻繁に起きた。

 


自分がつるんでいた覚醒剤ユーザーは何故かみんな女がいた。

 

それはモテるとかどうとかの話ではなく異性を探す能力が覚醒剤によって跳ね上がるからだと思う。

 


覚醒剤に女は付き物だ。そして女性関係のトラブルに巻き込まれることもよくあった。

 


アジトにいた人達は炙りや注射とやり方は違えどみんな覚醒剤をやっていた。

 

みんなそれぞれカタがあった。カタというのは癖のこと。

 


体毛が気になってずっと抜いている人、女にひたすら電話でアポを取ろうとする人、気性が荒く些細なことで急に切れる人、何度も何度も薬物と金を数えている人。本当に多種多様だ。

 


たまに電波が飛んできてコンセントを刺す部分の分解を始めようとしてする人もいた。

 

やめろと言っても聞かないので「何も刺さってないところにしてくれ」と誰かが声をかけたりしていた。

 


そしてこのアジトに居るのが飽きたら自分と親友はガラスパイプとパケを手にして外へ出ていた。

 


よく行ってたのはカラオケ。覚せい剤とカラオケの相性は抜群にいい。よく新宿西口のカラオケにいた。

 

 

店舗のマネージャーが覚醒剤中毒で売人グループの良いお客さんだった。

 

 

ここによく行っていた理由はセキュリティ面。〇〇号室はドアの前を人が通らずカメラもないため部屋に客を呼んで取引ができた。

 

 

しかも部屋で覚醒剤を炙ってよかった。その見返りに覚醒剤を店の人に渡していたみたいだ。

 


覚醒剤を使用してのカラオケは声帯が開いていつもの数倍は声が出る。そして喉が開くから普段歌えない高音域が軽々と歌えるようになる。

 


これは凄く調子が良かった。トイレで覚せい剤を炙っては歌いまくって気がついたら10時間近く経っているなんてこともザラにあった。

 


売人ともよく一緒にカラオケに行った。客の女の子が来て一緒に遊んだりもした。

 


その後誰が一緒に女の子を持ち帰るかなんてイベントも楽しんだ。

 

出会ったばかりの女の子と揉めて通報されそうになったこともあったけど。

 


カラオケに飽きたらギャンブルに向かった。歌舞伎町の裏スロかインターネットカジノによく入り浸ってた。

 

ギャンブルと覚醒剤も非常に相性が良い。相性がいい故に非常によろしくない。

 


自分も痛い思いをよくしたけど、一緒にいた売人なんてケツの毛までむしられるくらいよく負けていた。

 

よく「このままじゃ帰れない」と言いインターネットカジノの入っている歌舞伎町のビルに客を呼びつけて覚せい剤を捌きお金を作ってまたバカラをやっていた。

 


覚醒剤ユーザーは毎日が破天荒な生活だ。遊びきった後は地獄の切れ目に苦しんだ。

 


覚醒剤にハマるに連れてトラブルはどんどん増えた。

 


喧嘩なんてしたことがなかった親友とも女や金で揉めてよく喧嘩するようになった。殺してやろうと思ったこともあった。

 


覚醒剤をやっていた時期は毎日がドラマティックだった。

 

 

凄く楽しかったけどその分辛いことや苦しいことも数え切れないほどあった。

 

 

毎日毎日出口の見えない迷路に閉じ込められているようだった。

 


でも覚醒剤をやっていた時期も青春の1ページだし、自分の過去は否定したくない。

 


自分はうまくいかないことを薬物のせいにする人が嫌いだ。

 


自分も酷い薬物中毒で地獄を見た。そのせいで失ったものは大きい。

 

 

でも何かのせいにし始めたらキリがない。

 

 

自分の人生、尻拭いは自分にしかできない。

 

 

※この物語は全てフィクションです。違法薬物の使用、犯罪行為を助長するものでは一切ございません。

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愛と幻想の薬物 覚醒剤【スマートジャンキーリポート12】

 

 

自分は覚醒剤を頭ごなしに否定するつもりは一切無い。自分も経験者だったから。

 

タバコ、アルコール、大麻、LSD、コカイン、覚醒剤などあらゆるドラッグに対して中立なスタンスでいたいと常に思っている。

 

全てのドラッグにメリット、デメリットがある。

 

いつだって使用するのは人間だし、過ちを犯してしまうのも人間。主導権は完全にこちら側にある。

 

だから自分は覚醒剤に限らず、何かの問題をドラッグのせいにするのは好きじゃない。

 

ただ経験上言えるのは、覚醒剤は他のドラッグと比べると上手く付き合うのが非常に難しい。

 

本人が覚醒剤と上手く付き合えていると思っていてもそれはただの思い込みで、側から見ると飲み込まれているなんてことは多々ある。実際そんな光景をよく目にした。

 

そして自分も覚醒剤に飲み込まれた側の人間だ。

 

今日は覚醒剤について真剣に向き合い、文章にしたのでぜひ最後まで読んでほしい。

 

「どこ行けばいいですか?」
「大久保の◯◯ホテル来て」

 

当時「パイセン」と呼んでいた人とよく一緒にいた。歌舞伎町でよく遊んでいた時に知り合った先輩。

 

ガタイの良いヤクザみたいな見た目をした覚醒剤愛好家の売人だ。

 

「何号室ですか?」
「〇〇号室だよ」
「分かりました」

 

大久保のホテルに親友と自分はよく呼ばれていた。このホテルは売人の巣窟。なぜだか知らないけど大久保には覚醒剤愛好家が多い。

 

「今日は何欲しいんだっけ?」
「罰とチャリ欲しいっす」
「今届けてもらうから待ってね」

 

他の人が届けに来るみたいだ。売人の都合で用意ができていないことや、待たされることは売人あるあるだ。そしてみんな決まって時間にルーズだった。

 

「まだ来ないすか?」
「まだっぽいなー」
「全然大丈夫ですよ暇なんで僕ら」
「遅くなりそうならアイスでも吸わない?」

 

アイスというのは覚醒剤の隠語。パイセンは知り合ったときから自分達と覚醒剤を一緒にやりたがっていた。パイセンは覚醒剤一筋の堅気な人だ。

 

なんとなく他のドラッグで満足するうちはやらなくてもいいかなと思って最初は敬遠していた。

 

ただこの頃になると正直MDMAもコカインもLSDも少し飽きがきていた。

 

飽きというのは本当に怖い。衝撃的な体験でさえ何度も経験すると必ず飽きが来る。

 

「今日はデビューしちゃいましょう」
「どうしたんだ急に」
「最初から興味はありましたよもちろん」
「てかアイスってどう吸えばいいんですか?」
「今日はデビュー戦だし特別に吸わせてやるよ」

 

そう言っておもむろに半透明の結晶が入ったパケを机の上に出した。

 

ライターの背を使い、テーブルの上で結晶を細かく崩す。

 

そしてストローで作った匙で結晶をすくい、ガラスパイプの中に入れる。

 

「ライターの火の赤い部分で炙ると温度が高くて焦がしちゃうからダメだぞ。青い部分で炙るんだ」

 

炙る時の豆知識を教えてくれた。そしてライターに火を付け、ガラスパイプを回しながら結晶を炙り始めた。

 

細かく刻まれた結晶がガラスパイプの中で踊り始めた。

 

すぐに半透明の結晶は液体に変わり、ガラスパイプの底に沈んだ。たちまち中から白い煙が登り始める。

 

細かくガラスパイプを左右に振りながら、ライターの火は器用に一定の距離感を保ってガラスパイプを熱する。すると白い煙の量が次第に大きくなっていく。

 

濃厚な白い煙が立ち上がり、少し甘い化学製品の匂いが充満する。

 

覚醒剤の煙はこれまで生きてきた中で見たどの白色よりも白い。

 

「吸っていいよ。ゆっくりと深く吸って息を溜めてみな」

 

口にガラスパイプを当ててもらい、言われた通り吸い込み、息を溜めた。

 

吸っている最中もガラスパイプの中で白い煙はまるで狼煙のように上がり続けていた。

 

するとその瞬間からぞくぞくと体の内部から外側に向けて鳥肌のようなものが立ち、後頭部まで包んだ。体の中を快楽が駆け巡る。

 

体が軽くなり浮遊感がすぐに出て空を飛べるような気さえした。

 

快楽の膜のような物に全身を包まれた。脳内の何かが弾け、髪の毛が逆立ち、毛穴が開く。

 

そして視界が明確に澄き通った。ぼやけていた現実がハッキリとした。

 

言うなれば覚醒剤は快楽の最上級にすぐ行ける片道切符だ。

 

自分が吸った後に親友も続いて吸った。

 

「お前どんな感じ?」
「最高。パイセン、もっと吸ってもいいですか?」

 

親友は炙るたびに多弁になった。もともとお喋りな奴だが、いつにも増して会話が止まらない。

 

マシンガントークだ。返事する暇さえ与えてくれない。

 

覚せい剤は元々思考がよく回るタイプにはめっぽう相性がいい。

 

俗に言う速いと呼ばれる人。親友はまさにそれだった。

 

「量足りないんじゃない?お前ももっと吸ってみれば?」

 

言われるがままに量を追加し、自分も効果が強く出てきた。

 

タバコを片手に会話をしていたのだが、気が付くと床に灰が落ち手元まで火種が来ていた。

 

普段は親友の聞き役になり自分のことをあまり話さないが、気がつくと覚醒剤を吸った自らの状態をペラペラと喋っていた。

 

この時初めてハマるという感覚を味わった。

 

昔から飽き性で何かに没頭するという経験をしたことが無かったので、この感覚は新鮮だった。

 

そしてこの後は売人の溜まり場にしていた民泊に行った。

 

部屋の中央のテーブルには大量のドラッグと天秤と小分けにする袋が置かれていた。

 

そこでは延々と鏡を見て眉毛を抜いているT君。スマホでずっとインカジをやっているR君。

 

すぐにピンクに入ってビデオボックスに行ってしまうK君。Twitterで女の子にDMをひたすら送っているM君。出会った男とすぐに寝るNちゃん。

 

このコミュニティで狂った日常を送ることになる。そして覚醒剤の深い沼にのめり込んでいく。

 

その日は家に帰って初めての切れ目に襲われ、浴槽に入り緑茶を大量に飲みながら覚醒剤の抜き方を必死で調べた記憶がある。

 

覚醒剤に嵌っていた時のことを思い出すと、「普通」とは対極にある生活をしていた。

 

普通に過ごすのが嫌いだった自分は最初はとてつもなく楽しかった。

 

そして覚醒剤に溺れると共に性にも溺れた。覚醒剤と性の関係はとても密接だ。

 

その日出会った女性と覚醒剤を手にし、ホテルで三日間を共にしたなんてこともある。

 

普通の神経をしていたらそんなことはあり得ない。覚醒剤の闇へ向かうスピードは加速していきどんどんと飲み込まれていった。

 

親友とも女性関係で大きく揉め、仲が決裂しそうになったことがある。それ以外にもあらゆるトラブルが絶えなかった。

 

メンヘラで凄く振り回されて疲れるけど、会えると物凄く楽しい。精神がおかしくなってしまうくらい。

 

会えない時は常にその子の事ばかり考えてしまう。

 

異性に例えるとしたら覚醒剤はまさにそんな存在だ

 

覚醒剤で人生が良い方向に向かった人は自分の周りにはいなかった。自分がやっていた時に関わった人間は一人残らず堕落していった。

 

覚醒剤は人が消える。マジックのように。

 

それは逮捕だったり本当にどこかに行ってしまったり。自分がいたコミュニティにも内偵捜査が入り続々と捕まって大半が消えた。

 

「薬物の使用は自己責任だ」とか言うけど責任の意味は真剣に考えた方がいい。

 

責任ってのは自分一人の責任ではない。周りの人間への影響まで含めた責任だ。

 

簡単にいうと「薬物を使用することで周りの人間に与える影響」までが自己責任の範囲だと自分は考えている。

 

つまり自己責任とは自分だけで完結するものではない。

 

そこまで真剣に考えた上でやるかやらないかの判断をしてほしい。

 

とは言っても一度持ってしまった好奇心を他人からの言葉で止めるのは難しい。

 

自分もそうだったから気持ちは本当によく分かる。

 

最後は本人次第。

 

でもこの記事の内容は絶対に忘れないでほしい。

 




このドラッグリポートは副作用も無く極めて事実に近い薬物体験を楽しむことができます。

※この物語は全てフィクションです。違法薬物の使用、犯罪行為を助長するものでは一切ございません。

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【後編】飼われてる動物って幸せなのか?【スマートジャンキーリポート11-2】

 


タクシーに乗り、港に向かっている最中だった。

 

「深海魚食べたことあるんだっけ?」
「いや、初めてです」
「珍しいから流行ってるみたいだよ」
「行ってみましょう」

 

観光タクシーでの旅行だ。この日の行き先は全て任せることにした。しばらくして沼津港に着き、タバコを吸ってくると言って港でジョイントを吸った。

 

そして目当ての深海魚寿司屋に到着した。入ると水槽に入っているあんこうと目が合う。

 

「ようこそ」と声をかけられた気がしたので「おす」と小さく挨拶をした。あんこうはよく見るとチャーミングな顔をしていて可愛らしい。

 

室内に入ると視界が大きく変化してきていることに気がついた。

 

「何食べる?」
「んー、自分は深海魚丼にします」
「俺も同じので」

 

店員に注文をするのが少し難しくなるくらいには効いてきていた。メニューを見て何度もやり取りするのが面倒だったので、深海魚丼を2人とも頼んだ。

 

間もなくして深海魚丼がテーブルに着き、目を疑った。深海魚は切り身のものもあるが、大部分は頭が付いており魚の形をしている。

 

深海魚たちが白米の上で動いているように見えた。採れたての状態でピチピチと跳ねているような。そのせいで店員が丼に乗った深海魚の説明を始めるがまるで耳に入ってこない。

 

本当に動いている?それとも曲がっているせいで動いて見えるだけ?もしくはどっちも?

 

そんなことを考えながら深海魚丼をじっくり眺めた。そして店員が魚の説明を終える。ふと気になったことを質問する。

 

「あんこうってどれですか?」
「あんこう?この切り身です」

 

店内に入った時にいた、あんこうを思い出してしまい食べるのが忍びなくなってしまった。あんこうだけ避けて食べ始めた。

 

魚を見ながら食べると見られているような気がしてなるべく目線を合わせずに食べた。

 

深海魚の見た目はグロテスクで、小さなプレデター達を胃の中に入れているような気分になった。

 

「食べるの早いね。美味しかった?」
「美味しかったです」

 

余計なことを考えると食べられなくなりそうだったので一気に食べた。味は正直全然覚えてない。その後、店を出て港でタバコを吸った。

 

「お前まだ食える?」
「飯?食えねーよ」
「紙だよ。一枚残ってる」
「イケるよ」

 

1枚残っていたLSDを親友と半分に分けて口に含み、タクシーに乗り込んだ。

 

「次牧場行こうよ」
「行きましょう」
「オラッチェってとこがあってね、ミルクが美味しいんだよ」
「いいっすね、ミルク飲みたいです」
「イケるよ」

 

「あれ?今どこ向かっているんでしたっけ?」
「牧場だよ。もう忘れちゃったの?」
「牧場でしたよね、ど忘れしました」

 

タクシーの中で記憶が曖昧になるモードに入ってしまった。ふとまばたきをするとなぜタクシーに乗っているのか、誰が運転しているのか一瞬分からなくなる。

 

外を見ると山が油絵のように美しく見える。急に四方八方が絵のように見え、壮大な美術館に閉じ込められたような感覚に陥った。

 

タクシーから見る外の景色は窓枠に切り取られて常に変化する絵画のようだ。

 

外を見ながら「景色いいな。てかここどこだったっけ?まあいいわ。」そんなことを思いながら流れに身を任す。

 

「到着したよ」

 

言われるがままにタクシーを降りた。この時はもう視界がグワングワン。牧場の手前にある建物に入ると凄まじい光景が目に写る。

 

建物の中に入った途端、急に目の前が全てドットの世界になってしまった。建物の中はポップで原色系の色使いをしていた。緑、黄、赤、茶と色の塊があちこちにある。

 

色の塊一点だけを見つめるのは危険だ。時間の感覚が無いので見ているうちに何秒、何分見ているのか分からなくなってしまう。下手したら不審者だ。

 

そして色に吸い込まれそうになる。というか自分が色そのものになってしまうような感覚さえあった。

 

色から抜け出し、動物にあげるための野菜を買って牧場に向かった。

 

歩くと芝生が深く沈んで足を吸い込まれそうになる。

 

「おい!ヤギ見てみろよ」

 

そう言われヤギを目にする。どうみても絵本に出てくる妖怪の老婆に見えてしまう。

 

目が合うと取り憑かれてしまいそうな気がした。野菜をくれと言っていたので仕方なくキャベツをあげた。

 

キャベツを上げるときにヤギの舌が手に触れて一瞬視界が灰色になる。

 

食べられるのではないかと恐怖を感じた。必死で持ちこたえて気を取り直す。

 

少し歩くと牛がいた。牛の柄はとてもファッショナブルで、酪農界ではお洒落な存在だ。近づくとゲップを吐かれたので少し気分が悪くなり早々に立ち去った。

 

最後に見たのが羊。羊は雲のような綿をまとって宙に浮いているように見えた。動く羊を眺めていると雲がすぐ手元にあるかのように錯覚した。

 

近くに寄ってきたので残っていた野菜を全てあげた。

 

「楽しかった?牛乳でも飲んで帰ろう」

 

この後飲んだ牛乳は生命力の塊のようだった。LSDをやっている時に牛乳を飲むと急にパワーが湧いてくる。胃腸の弱くない方にはオススメしたい。

 

牧場を後にし、旅館までタクシーで送ってもらってコミネさんとはお別れした

 

コミネさんにはこの後、熱海で毎回観光をお願いすることになる。

 

旅館に到着してからは巻いてきたジョイントを吸い、旅館の前の海辺を散歩した。

 

「なんか夢みたいな一日だったな」
「深海魚は曲がってる時はダメだ」
「俺もなるべく魚を見ないようにして食べた」

 

「牧場はどうだった?」
「楽しかったけど、飼われてる動物って幸せなのか?」
「そう言われるとどうなんだろうね」
「俺には窮屈そうに見えた」

 

当時、自分の目には柵に囲まれた動物たちがとても窮屈そうに映った。

 

実際彼らは飼われているし、自由が無いといえば無い。

 

だけど今、当時の旅行を思い出すと、柵に囲まれた動物たちは幸せだったのかもしれないと感じる。

 

野に放たれたら様々な危険があるし、餌も自分で探さないといけない。

 

柵に囲まれているうちは安全に生きていられる。

 

実際どちらが幸せなのか、答えは動物たちにしか分からない。

 

この記事を書いていて、当時とは自分の価値観が変わっていることに気がついた。

 

LSDを好んでいた理由は、トリップ中に価値観が変わるヒントが落ちているから。

 

拾うかどうかは自分次第。

 

 

このドラッグリポートは副作用も無く極めて事実に近い薬物接種体験を楽しむことができます。安心して服用して下さい。

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【前編】楽しい記憶はなぜかLSDばかりだ【スマートジャンキーリポート11-1】

 

 

自分がジャンキー全盛期の時はLSDを食べて部屋で過ごすという選択肢は滅多に無かった。

 

外に出るのが好きで、普段とは違う視点で様々なものを目にしたかった。

 

LSDをやりすぎた時期、人が作った物が無機質で同じように見えてしまうという変な思考になったことがあった。

 

YouTubeを見ていても、これって光の点の集合だよな。なんて思うと途端に見る気が失せる。

 

だから外に出かけた。自然が好きで、よく旅行に行っていた。

 

思い返すと楽しい記憶はなぜかLSDばかりだ。ということで今日は熱海に行った話

 

「晴れてよかったなー」
「ほんとね、熱海に着いたら何する?」
「着いた時の気分で考えよう」

 

新幹線で熱海に向かっていた。品川から40分で行ける熱海はLSD旅行には最適だ。

 

新幹線の中で駅弁を食べてからLSDを口にした。この日は念のため二人で5枚持参して行った。ジョイントもたくさん持っていた。

 

到着して「景色の良いところに行きたい」という意見が一致したので、まずは高台にある熱海城へ向かった。

 

LSDは「自分はこうしたい」という自我がいつもより出やすい。

 

なので、何かを決めるときにはお互いの意見を聞いて擦り合せをしていくことがいつもより大事。

 

そして、勘繰りはいつも自分の心から生まれる。経験上ほとんどそうだ。

 

自分の心に嘘をつかないことで変な勘繰りは生まれづらくなる。

 

これを頭に入れてLSDを乗りこなしてほしい。シラフの時にも通ずることだから。

 

熱海城に到着し、とりあえず展望台を目指した。城の6階に展望台があり、喫煙所もある。

 

周りに人が居なかったので、外に面した喫煙所でジョイントを吸った。

 

「いいじゃんここ、景色最高」

 

展望台からは海と山が見える。普段海ばかり見ているので山に気を寄せてみた。

 

素面の時だと山を一つのまとまりとして捉えてしまうが、LSDを接種した状態での山は木々一本一本に意思があるように見えた。

 

「あの木はなんか周りより強そうだな」
「横の木が隣の木にビビってるように見えるね」

 

なんて喋りながら木を眺めていた。普段全体で調和が取れているように見える山だが、よく見ると木々それぞれが意思を持っている気がした。

 

生まれてから死ぬまで同じ場所に居なきゃいけない木は大変だ。木には自由が無い。なんてことを思い、タバコを吸ってから城を出た。

 

城の下に降りると、急に老人が話しかけてきた。

 

「ねえねえ、なんかやってる?」
「なんかって何ですか?」
「いやー、スポーツとかやってんのかなと思って」
「全然やってないっす」

 

自分達はどこからどう見てもスポーツなんてやってない風体だ。動きやすい格好で来ていたから老人にはスポーツをやってる人に見えたらしい。

 

「なんかやってる?」の一言で親友は大麻の匂いがバレたのかと思い少し勘繰っていた。

 

こっちはLSDも大麻もいい感じに効いているけどな。なんて思いながら話を続ける。

 

「ていうかなにしてたの?」
「熱海城行ってました」
「ダメだよこんなとこ来ちゃあ、歴史もクソもないのに」

 

どうやら熱海城は昔からある城ではないみたいだ。

 

「今から行くところは決まってるの?」
「何も決まってないっす」
「観光するなら貸し切りどう?安くするよ」

 

老人は貸し切りの観光タクシーの勧誘だった。

 

「良い人そうだし乗ってみる?」
「そうだな。アイテム持ってるからタクシーだと安全だよな」

 

すぐに決めた。「話は早ければ早い方が良い」というのが自分達のモットーだ。

 

二人とも人の話をあまり長く聞いていられない性格だった。LSDをやっている時は特にそうだ。

 

「じゃあ乗りなよ、どんなとこ行きたいの?」
「じゃあ城ヶ崎ってとこいいよ」
「オススメのところなら何でもいいですよ」
「火曜サスペンス劇場にも出てくる景色の良い崖があるよ」
「へー、崖いいっすね行きたいです」


「そういえばどこから来たの?」
「東京です」
「熱海には居なさそうな感じだもんな。仕事は?」
「んー。フラフラしてますね」
「そうなんだ。てかタバコ吸うかい?」
「タクシーなのに吸っていいんですか?」
「良いよ適当に窓開けて吸って」

 

この運転手はコミネさんという。後々聞いた話だと熱海の観光タクシーでは有名な人みたいだ。

 

コミネさんは答えるのが面倒くさいことや返答に困ることを一切聞いてこない。

 

これまでにそういう大人はあまり居なかった。大人はだいたい野暮なことを聞いてくる。

 

孫くらい年が離れているが、最初から気の合う友達みたいな感覚だった。

 

道中はお互いの話をしながら程なくして城ヶ崎に到着した。到着した時にLSDをもう1枚追加し、少し歩くと崖に到着した。

 

「どう?いい景色だろ」
「すげー、海に見えるあの白いとこってって渦潮って奴ですか」
「そうだよ。波が強い時は渦潮が見えるんだ」

 

崖から見下ろす渦潮は圧巻だ。明らかにいつも見る海とは様子が違う。

 

海はいつも穏やかだと思っていたがそうではない。

 

渦潮で流れる水は、水と水が戦っているようだ。食うか食われるかという水の気迫を感じた。

 

水も力が大きく、勢いのある方に飲まれて取り込まれていく。人間とは違って。見ていると吸い込まれてしまいそうになった。

 

親友は渦潮を見てラーメンのなるとを連想したらしく、渦潮を見ながらラーメンが食べたいと言っていた。

 

「あっちに吊り橋があるよ」
「行ってみましょう」

 

森からこちらに赤い舌を出しているかのような変な感覚を抱きながら吊り橋に向かう。

 

そして恐る恐る吊り橋を渡り始めた。一歩一歩歩いていると下から吹き上げる風で足が浮足立つ。

 

「もしかしてここから飛ぶと凄く気持ちいいんじゃないか?」

 

なんて感情を抱いた。LSDを食べている時はゲームをやっているような感覚になってしまう。

 

例えるなら1人称視点のゲームをやっているような。

 

もし死んでしまったとしても今ならコンテニューできる気がする。

 

変なことも考えたが無事吊り橋を渡って戻ってくることができた。

 

「おかえり。吊り橋どうだった?」
「なんか今なら飛べる気がしました」
「またおかしなこと言って」
「冗談ですよ。景色も良くて最高でした」
「そりゃ良かったよ」

 

「お腹空いてる?お昼どうする?」
「食べましょう」
「日本で唯一の深海魚が食べれる寿司屋に行ってみない?」
「へーそんなとこあるんすね」
「味が美味しいわけじゃないけど珍しいからさ、不味かったら違うもの食べれば良い」
「じゃあそうしましょ」

 

LSDも効いてきてしどろもどろに会話していた。会話をするのも難しくなってきていたので言われるがままに事を進めていった。

 

この後、深海魚の寿司屋と牧場に向かうことになる。ここから目に映った光景は凄まじかった。

 

 

このドラッグリポートは副作用も無く極めて事実に近い薬物接種体験を楽しむことができます。安心して服用して下さい。

※この物語は全てフィクションです。違法薬物の使用、犯罪行為を助長するものでは一切ございません。

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砂漠でのLSDは究極の信頼ゲーム【スマートジャンキーリポート10】

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今日は伊豆大島に行った時の話。

 

「フェリーの時間間に合うかな」
「ギリギリだよね、まあ大丈夫っしょ」

 

浜松町の近くの竹芝という所に向かっていた。この日は親友と旅行を計画していた当日。親友と以前から島でLSDを食べてみたいと話していた。

 

自然に囲まれた場所で曲がるのが好きだった。何度も言うが自然とLSDは本当によく合う。島なんて最高のはずだ。

 

ほどなくして伊豆大島行きのフェリーに乗った。親友は旅行の時には「早くLSDを食べたい」としか言わない。素晴らしいジャンキー精神だ。

 

港に着くと観光客がたくさんいた。とりあえず海辺でジョイントを吸って港の食堂でお昼ごはんを食べた。

 

大島の海鮮丼はとても新鮮で美味しかった。ご飯の印象なんてそれくらい。自分達はその後のLSDのことしか頭に無い。

 

到着し、宿の人と少し話してから車を借りに行った。山に行くなら日が暮れる前には帰ってきたほうが良いとのことだった。

 

車を借り、三原山という山に向かう最中にLSDを食べた。この日食べたのはカリフォルニアサンシャインというLSD。

 

視界も綺麗に見えるし体の不快感も無く好みの種類だった。今回大島に来た目的は砂漠だ。

 

「砂漠はどこからが砂漠になっているんだろう?」

 

という友人との会話から興味が出た。なので自分達の目で確かめてやろうという話になった

 

三原山には「裏砂漠」という砂漠がある。なんとも惹かれるネーミング。日本唯一の砂漠だ。

 

車に乗って裏砂漠を目指した。裏砂漠へは月と砂漠ラインというなんとも響きの良い名前の道を経由する。

 

車で入り込めるところまで行き、降りてからLSDをもう一枚追加。木々に手招きされるかのように進んでいく。

 

木々に囲まれた道を抜けると急に別世界が広がった。

 

 

空と砂漠の境界線が綺麗に分かれている。急に違う惑星に飛ばされたかのようだ。

 

気を抜くと綺麗な絵の中に吸い込まれてしまった気分になる。視界には雲だけが優雅に踊って、ご機嫌そうに映る。

 

空の主役は雲だ。青空ではない。定位置が無く、楽しそうに流れる雲には憧れのような感情を抱いた。

 

雲は意思を持って流れていた。自由そのものだ。

 

一方、砂漠は無機質で動きはない。

 

だが良く見てみると優しい表情を見せる一面があったり、無表情な一面があったり、気を抜いたら飲み込まむぞと言わんばかりの冷めた表情をしている一面も見える。

 

視線を向ける方向によって表情が変わっていく。砂漠は一枚岩ではないみたい。

 

「あれ展望台じゃね」
「行ってみよう」

 

展望台とは言っても看板が立っているだけで殺風景だ。他には何もない。

 

砂漠には生物がいない。生命が存在しない世界は退廃的だけどどこか美しい。

 

周辺を散策しているうちに、相当な時間を砂漠で過ごしていた。

 

景色が変わらないのは時間の感覚を消失させた。この時の自分達は薬効がピーク。

 

日が落ちてきていることに一切気が付かなかった。気がついたら辺りが薄暗くなっている。

 

「そろそろ戻らないとまずいかも」

 

そう親友が言ったときにはもう遅かった。日はまたたく間に落ちていく。辺りは暗くなり、途端に体が冷える。

 

日が落ちた砂漠の道はとても険しく、足が取られる。つい先程までのどちらとも取れない表情とは一変した。

 

咄嗟にザザザっと音が鳴る。

 

「痛ってーーー」

 

親友が足を踏み外し転んでしまった。近くに駆け寄り手を貸して立ち上がった。

 

砂漠とは言っても砂ではない。火山灰は鋭い岩だ。親友の手からは血が出ている。

 

しかも携帯を見ると圏外。ここはどこなんだろう?

 

何故か真っ暗だし寒いな。ああ、そうだ。自分達は砂漠に居るのか。

 

これが繰り返され、ループしている。1秒前に見た景色は忘れ、急にその場所にワープしてきたような感覚。

 

まるでゲームだ。ワープする前の記憶はない。今置かれている状況を理解するところからゲームの攻略は始まり、記憶はすぐどこかへ行く。

 

「どっちを向いて歩けばいいんだ?」
「えーっと。。」

 

遭難状態だ。戻る方向が分からない。恐怖が浮かぶ。味わったことのないほど。

 

荷物は最小限だし水の残りはペットボトル半分。戻る方法を必死で考えた。ふと親友を見ると顔が真っ青だ。

 

「おい、お前大丈夫か!」

 

親友は気を失い転倒した。幸いにも頭は打っていない。寒さと過酷な状況で貧血を起こしたみたいだ。

 

絶望の色は黒ではない。例えるならテレビの砂嵐が映る画面に似ている。ブラックノイズの中に時折り原色のような色が混ざる。

 

ふと親友が何かを思いついたかのように喋り出す。

 

「iphone電池残ってる?」
「まだあるよ」
「コンパスとiphoneのマップを使って調べてみよう」

 

幸い二人ともiphoneの電池が残っていた。視界が可怪しく、地図が見れなくなっていたので親友にiPhoneを託した。

 

恐怖は口や顔に出すと伝播して大きくなってしまう。大丈夫だと言い聞かせる。しばらくして親友が言う。

 

「多分こっちだ。向かってみよう」

 

方向感覚を失っていた自分は、親友を信じて道を進んだ。しばらく歩くと道中見かけた小屋を発見した。

 

入ると暖炉があり、炎が灯っていた。

 

「人が居たのかな?」
「わかんない。でもここまで来れてよかった」

 

炎は母親のように包み込んでくれた。「もう大丈夫」だと言われたような気がした。心を落ち着かせてくれた。その瞬間に視界が色付いていった。

 

小屋からの帰り道のことはあまり記憶にない。生きて帰れることに安堵して忘れてしまったんだろう。

 

帰る車に乗り込む時、ボロボロに汚れたイージーブーストを目にして自分達が置かれていた状況の過酷さを再認識した。

 

砂漠を後にして海辺に向かった。海はいつも穏やかな表情だ。防波堤でジョイントを吸いながら歩いていた。

 

ホワイトウィドウの土臭ささえ心地よかった。残り僅かで火が消えそうになり、最後の一吸いを親友に託した。

 

「お前とじゃなきゃ生きて帰ってこれなかったかも」

 

そう言い残し海を後にした。

 

 

砂漠でのLSDは究極の信頼ゲームだった。

 

おそらく親友が居なかったら自分は死んでいたし、自分が居なかったら親友も死んでいただろう。

 

無謀だった。ドラッグを使った経験上、最も死に近づいた。生きて帰れたのは間違いなくお互いがお互いのことを信用していたから。

 

誰もが生きていたら死ぬ。そして人は死を恐れる。死を恐れる理由は未体験だからだと思う。

 

死は体験できない。死が起こる時に体験する意識そのものが無くなってしまう。

 

体験できないものを恐れるというのはなんとも皮肉的だと思う。

 

死ぬのが怖いというのもただの固定概念なのだろうか。

 

ただ、死を間近にすると未曾有の恐怖を感じたことは確かだった。

 

ドラッグで死にかけたことは何度もあったけど、物理的に死を覚悟したのはこれが初めてだった。

 

生と死も二面性だ。

 

普通に過ごしていればまず生を実感することなんて無い。

 

死の淵ギリギリまで近づいたことで生を実感することができた。

 

この日は死生観について考えるまたとない機会を与えてくれた。

 

衝撃的な経験から何に気づき、どう人生に落とし込むかで、人生の向かう方角は変わっていくのだと思う。

 

この経験を経て、死んだように生きるのは辞めよう。そう思った。

 

 

このドラッグリポートは副作用も無く極めて事実に近い薬物接種体験を楽しむことができます。安心して服用して下さい。

※この物語は全てフィクションです。違法薬物の使用、犯罪行為を助長するものでは一切ございません。

Twitterではドラッグに関する役立つ知識を発信しています。是非フォローしてください。
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MDMAによる未知の幻覚【スマートジャンキーリポート9】

 


今日は幸福が詰まった錠剤の話。


当時25歳くらい。自分は無職だった。親友が仕事から帰ってくるまで一人で退屈していた。


三軒茶屋のワンルームの部屋で一人大麻を吸ってゲームをしたり漫画を読んだりたまに公園まで散歩をしたり。


親友は仕事をしていたので平日は暇を持て余していた。その日は週末だった。

 

「ただいま」
「おかえり。今日ヨコヤマから電話来てたよ」
「なんて言ってた?」
「新しい罰が入ったらしい」
「気になるな。取ろうぜ」

 

プッシャーのヨコヤマから新しいMDMAが入荷したという旨の連絡が来ていた。当時自分たちはMDMAに目がなかった。週末は必ず食べていた。


MDMAは種類が豊富で物によって効き方がかなり変わってくる。ヨコヤマからの新入荷の連絡は自分達にとってサプライズだった。

 

「何個取る?」
「とりあえず今日使う5個くらい取ろう」
「そうだね」
「良かったらまた追加で取れば良いし」

 

新種のMDMAは当日使う分だけ取ろうというのが自分達のルールだった。なぜなら初見のMDMAは良いものかどうか使ってみるまで分からない。


プッシャーのヨコヤマはMDMAの注文を受ける際は5個からというルールを設けていた。一晩でお互いに2〜3個を消費するので5個取ることにした。

 

「22時に予約しといたよ」
「ありがとう」
「今日は三丁目のファミマで待ち合わせだって」

 

ヨコヤマとはいつもコンビニの中で待ち合わせ、外で受け渡しをするという流れだった。自分達はタクシーで新宿三丁目に向かった。

 

「ヨコヤマいた」
「俺取ってくるからタクシーの中で待ってて」
「わかった」

 

コンビニに入り、ヨコヤマとアイコンタクトを取り外に出る。そして袋に入ったお菓子の箱とお金を交換した。

 

「今日の何てやつですか?」
「レゴってやつですよ」

 

ヨコヤマとの会話はこれだけだ。外に長居するとリスクも高いのですぐにタクシーに乗り込んだ。

 

「いつものカラ館に行こう」
「そうだな」

 

自分達はMDMAを食べてカラオケに行くことが多かった。クラブはうるさくて疲れるから苦手だ。聞きたくない曲も聞かされる。


カラオケは自分達のペースで遊べるから好きだった。MDMAを食べて具合が悪くなった時も対処しやすい。


自分達は新大久保のカラ館に向かった。新宿は警察が多いのでなるべく避けていた。

 

「今日のやつ評判良いらしいよ」
「ヨコヤマ毎回良いって言うよな」

 

カラ館に到着し、部屋に入ってドリンクを注文した。その後お菓子のパイの実の蓋を開けた。レゴの名前にふさわしいブリキのおもちゃの形をしたMDMAが入っていた。

 

「可愛い見た目してるね」
「こんな形の奴もあるんだな」
「とりあえず食おうぜ」

 

空腹の胃の中にレゴを投入した。そして喋りながら薬効が出るのを待った。カラオケに行ってもずっと歌っているわけではなく喋っている事が多かった。


他人が近くに居ない空間を好んでいただけだ。余計な勘ぐりも気にせず、親友と楽しい時間を過ごしたかった。

 

「どう?効いてきた?」
「ああ、手汗が凄いわ」

 

レゴは強力なMDMAだった。当時はS玉と呼ばれていたかな。ただ、当時のS玉と今のS玉は全く違う。


今のものは強くは効かず、ただ眠れないだけみたいなものが多いみたいだが、レゴは効果が強いと評判だった。1時間後には自分達はすっかり効いていた。

 

「レゴ最高だね」
「ああ、カラオケやろうよ」

 

そう言ってカラオケを始めた。親友はよくAviciiを歌っていた。Aviciiの音楽を聞くと当時のことをフラッシュバックすることがある。 脳が覚えているんだろう。


MDMAを食べて聞く音楽は脳が音に襲われる感覚があり、最高だった。二個目のMDMAを食べてひたすらカラオケを続けた。


MDMAにはEDMやヒップホップがよく合う。音が脳に突き刺さり異常な高揚感を覚える。


ふと尿意を催し、カラオケの最中トイレに行った。 トイレのドアを開けると赤色の小さな物体が落ちていた。

 

「おい!これMDMAじゃね?トイレに落ちてた!」
「いやそんなわけねえじゃん」
「いやマジだって!これ見ろよ!」

 

ドリンクで流してから舐めてみた。苦かった。それは正真正銘のMDMAだった

 

「うわほんとだ」
「潰れた奴がもう一個落ちてたから見てくる」

 

戻るともう一つは無くなっていた。自分達と同じように遊んでいた人間が落としてしまったのだろう。


MDMAを食べているときにMDMAを拾うなんて。こんな奇跡があるのかと印象深く、今でも鮮明に覚えている。

 

「こんなことあるんだな」
「俺もまさかとは思ったよ」
「これはどんなやつなんだろうな」

 

ここからが特に凄かった。1時間ほど経つと急に作用が強くなり、視界がおかしなことになり始めた。


親友の顔が急に動物に変化し始めた。顔の右半分だけ顔の色や表情が常に変わる。トラ、ワニ、シマウマ、キリンなど変化し続けるのだ。


これは流石に呆気にとられた。しかもかなりリアルだ。動物園で見る本物の動物よりもリアルな質感。


トイレに行くとタイルが全て麻雀牌に変わっている。そしてその牌に書かれている漢字は常に変わっていく。目が忙しい。


そして部屋に戻り、壁に目を向けた。すると突然壁が開き自転車に乗ったピエロが壁の中から出現した。急にサーカスが始まったのだ。


そのピエロは不気味に笑っており、時計回りに宙を一周すると壁の中に入っていく。そして壁の中からまた出てくる。これをループしている。


あまりに奇妙だ。親友にはカラオケの空間に存在するはずのない知らない他人が見えていたらしい。


過去に見えないものが見える幻覚は経験したことがなかった。この日はかなり不思議な感覚だった。


こういう幻覚は厳密に言うと幻視と呼ばれる。多分トイレで拾って食べたMDMAに変な成分が入っていたんだと思う。


オピオイド系のMDMAを食べるとこんな感じの効き方をする。イメージしたものが実際に存在するかのように見えてしまうのだ。


妄想が現実に見えてしまう状態。思い込むとそれがあたかも現実世界に現れてしまうのだ。精神病の方がこのような症状が出ることがあると言われている。


少し落ち着いたところで家に帰った。いつになったら視界が戻るんだろうなという怖さは少しあった。


程なくして視界が落ち着き見えないものが見えなくなったことに安心したのを覚えている。


もし君が友達とドラッグを食べて友人がおかしくなってしまったら必ず

 

「大丈夫だよ」

 

と声をかけてあげてほしい。声に出すことで自分も安心することができる。


親友に絶対に元に戻るから大丈夫だと声をかけ世田谷公園を散歩したのをよく覚えている。


言葉は使い方次第だ。人を生かすこともできるし殺すこともできる。そして発した言葉は相手に向けているようで自分にも向いている。

 

 

このドラッグリポートは副作用も無く極めて事実に近い薬物接種体験を楽しむことができます。安心して服用して下さい。

※この物語は全てフィクションです。違法薬物の使用、犯罪行為を助長するものでは一切ございません。

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ドラッグは感情の振れ幅を作るアイテム【スマートジャンキーリポート8】

 


「お前と俺だって他人」

 


自分の人生を傍から見ているような感覚があった。


幼い頃から感情表現が苦手で、親はよく可愛げが無いと自分に言った。


生意気な子供だったんだと思う。反抗してますます感情表現が乏しく育った。


新しいことを始めるとすぐに及第点を取れるタイプで、努力して満点を目指すのは割に合わないと常々感じた。


手を抜いて他人より少しだけ良い位置に居る方が快適だ。努力をして満点を取れなかった時に自分の能力を計られてしまうようで嫌だった。


何かをやり遂げた経験も一度もない。流されるままの適当な人生を歩んだ。


自分にとってドラッグは感情の振り幅を作るアイテムだった。

 

「新幹線間に合わなくなるぞ」
「そろそろ出るか」
「タクシー呼ぶね」

 

夏の暑い日。帰省するタイミングで暇そうにしていた親友を連れて一緒に地元に行くことになった。


自分の地元は片田舎だ。都会で育った親友には楽しんでもらえるだろうと思った。

 

「てかアイテム持った?」
「そうだ忘れてた」
「紙も忘れずにな」 
「多分大麻足りなくなるけどどうする?」
「大麻くらいなら地元でも取れるよ」

 

自分達は旅行の際に必ず大麻とLSDを用意していた。素面で田舎に行くのはつまらない。


これがあればただの旅行もドラマチックに変わる。品川駅から片道5時間ほどかけて地元に向かった。


自分の地元は帰り道の電車が鹿を轢いて止まってしまうことがあるくらいの田舎だ。


LSDには自然がよく合う。田舎への帰省は絶好の機会だった。実家には適当に挨拶をしてすぐに出た。


仕事を辞めたとは伝えていたが、それからのことは一切話していなかった。詮索されるのが嫌だった。


親に心配はかけたくないが、嘘を付くのは自分の心にも親にも悪いと感じていた。

 

「実家行ってきた」
「どうだった?」
「どうもこうもない。普通だよ」
「ならよかった。天気いいしどっか行かない?」
「とりあえず紙食おう」

 

銀色のアルミホイルを広げ、ホテルでLSDを食べた。そして薬効が出始める前に森へ向かうことにした。


LSDを食べる時は海に行くことが多かった。いい機会だから今日は森に行こうという親友の提案からだった。


タクシーで向かい、森に到着した。摂取してちょうど1時間ほど経過したところだ。

 

「どう?効いてきた?」
「なんか今日の強い気がする」
「やっぱ?やたら目に来るなと思ったわ」
「ピークが楽しみだね」

 

そんなことを言いながら森の中へと入って行った。その森の中には滝があり、自分の好きな場所だったのでそこへ向かった。


森は普段より少しだけ不気味に感じた。木々達は「あまり見ない顔だね」と言っているように見えた。


木は奇妙な顔をしているものが多かった。友達にはなれない感じだ。自分達は更に奥へ進んで行った。


そして滝に到着した。この頃には2時間ほど経過していたかな。

 

「うわっ。滝って凄いな。唸ってる」
「自然の猛獣だなこれ」
「昔の人って滝に龍がいるって言ってたらしいよ」
「それ多分本当だと思う」

 

滝にはまるで龍が棲んでいるかのようだった。棲んでいるというよりは滝そのものが龍に見えた。


轟々と音を立てて滝壺に水が落ちる様子は凄まじい。滝壺から龍が現れて崖を登っているように見えた。


呆気に取られて見上げていると後ろに転びそうになった。

 

「ちょっと怖くなってきた」
「わかるわ。滝が自然界最強だ」
「滝が一番強い」
「だな。そろそろ帰ろうぜ」

 

そう言って滝を後にした。滝からは恐怖さえ覚えた。とてつもない生命力を感じた。滝の水は流れていた。流されていなかった。


そこに意思があるかのように。「自分の意思を持て」と強く言われているような気がした。


流されるがままの人生を歩んできた自分には滝の流れる音は耳が痛かった。


ホテルに到着して少し休憩した。お腹が空いたのでご飯を食べに行こうという話になった。地元はマグロが有名なのでマグロを食べに行くことにした。

 

「東京で食べるマグロとは全然違うなあ」
「やっぱり?喜んでもらえてよかった」
「食べ終わったら海行かない?」
「海も見たくなってきたな」

 

地元は良いところだ。自然が豊かでご飯も美味しい。ご飯を食べ終えた自分達は近くの海の向かうことにした。

 

「やっぱり海はいいね」
「滝とは全然違うよな」
「海は穏やかだ」
「表情が違う」

 

海は自分を受け入れてくれるような気がした。「おかえり」と暖かく声をかけてくれるかのようだった。


穏やかな海を見ながら大麻を吸って寝転び、空を眺めた。空は自分の生き方を肯定してくれているような気がした。


LSDは思考と感覚のドラッグだ。素面の状態とは違い様々な考えが浮かんで来る。感受性が豊かになり、五感の境目が無くなる。


視覚で認識したものから音が聞こえてきたり、逆に聞こえた音が視覚に変わったり、頭でイメージしたものが視覚化したりする。


物から感情を感じることもある。そして時間の感じ方も変わる。LSDを食べて過ごす一日は一週間、場合によっては一ヶ月にすら感じる。


そして翌日は何故か頭がスッキリとしている。LSDは心の洗浄になる。自分は幼い頃から親に

 

「あなたは何を考えているか分からない」

 

とよく言われた。自分の考えていることを話しても到底理解してもらえないだろう。だから話しても意味が無い。そう思い自分の内側をあまり見せなかった。


でも、時間が経ち親が子供のことを分からないのは当たり前だし子供も親のことが分からないのは当たり前。そう思えた。心に少しゆとりができた。


自分以外は皆他人。他人同士の価値観は違って当然だ。親友でさえ他人だ。とは言っても悲観しないでほしい。

 

「他人同士だからこそ共に過ごす時間は素晴らしい」

 

親友とは何年間もの時間を共に過ごしてきた。なぜ一緒にいたか?それは違う価値観同士が分かり合えていたから。それ以外の答えは無い。


違う価値観同士が一緒に居られることは素敵なことだ。だから君の周りの人間は大切にした方がいい。

 

最後に


時間は皆に絶対的なものだと思われているけど実際はそうではなく、相対的なもの。


時間は皆に平等ではないし、もっと言うと、

 

与えられた時間は平等だけど、その時間の流れ方は人によって大きく変わる。

 

時間は資産。限りがある。そして豊かになれるかどうかは使い方次第。


今過ごしている時間も常に過去になっていく。

 

 

このドラッグリポートは副作用も無く極めて事実に近い薬物接種体験を楽しむことができます。安心して服用して下さい。

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コカインは「イケる」ドラッグだ【スマートジャンキーリポート7】

 

 

「なんか今日どこまでもイケる気しねえ?」

 


前回、真面目に話したから今日は最高に馬鹿げた話だ。甘いもの食べた後は塩っぱいもの食べたくなる。それと一緒。


ジャンキーのくだらない話が嫌いな方は今すぐ戻ることをオススメする。まあそんな人は一人もいないと思うけど。

当時の自分達は毎日大麻を吸って、週末は必ずケミカルを食べるというルーティンだった。

 

とはいえ平日も暇があったら食べていた。自分は相変わらず無職だったので、親友の仕事に合わせて遊んでいた。

 

「ただいま」
「おかえりー。今日はなにする?」
「とりあえず焚いて焼肉でも行こうぜ」
「いいね、行こう」

 

家の近くに肉人という焼肉屋さんがあった。家で大麻を吸ってからそこに行くのが週末の定番だった。

 

焚いてからの焼肉はとにかく美味しい。思い出すと唾液が出てくる。


「お前ホルモンだと何が1番好き?」
「マルチョウ一択だろ」
「いや、ハラミも譲れないね」
「あーたしかにハラミも美味いな。てか今日何するよ?」
「実は今日コカイン取る約束してんだよね」
「まじ?ちょうど俺もやりたいと思ってたわ。てか人に聞こえる声で言うなよ」
「あーごめんごめん。じゃあ出ようぜ」

焼肉を食べ終えて自分達は店を後にした。そして新大久保のホテルに向かった。

 

新大久保にはプッシャーとジャンキーしかいない異質なホテルがある。今日やり取りするプッシャーは「パイセン」だ。

 

パイセンとは最初Twitterで知り合った。当時自分たちは歌舞伎町にドラッグを取りに行く事が多かった。

 

パイセンも歌舞伎町がホームだったので共通の知り合いがたまたま何人かいた。歌舞伎町の先輩だぞと自分で言っていたのでパイセンと呼んでいた。

 

パイセンは30代半ばで色が黒くガタイが良かった。見た目は輩みたいな感じだ。

 

「俺は覚醒剤しか体が受け付けないんだ」

 

とパイセンは口癖のようにいつも言っていたのを覚えている。覚醒剤一筋の硬派な覚醒剤愛好家だった。そしてパイセンはドラッグの調達力に自信があった。

 

「俺より良い物を持っている人間はいねえ」

 

ガラスパイプから出る白い煙を燻らせながらいつもそう言っていた。プッシャーがよく言うセリフだ。

 

パイセンは覚醒剤を炙りすぎて、いつも機関車トーマスのように白い煙で包まれていた。顔が煙に包まれて見えないのだ。

 

「おうよく来たな。そろそろ覚醒剤吸うか?」
「いやー遠慮しときます。すいません」
「なんだよつれねぇなあ。てか今日はなんだっけ?  ああ、コカインだよな。はいこれ」
「おお。今日はいつも持ってるのと違って塊ですね」
「今日のやつは間違いないと思うぜ」

 

渡されたのは固形のコカインだった。混ぜものが入ったコカインはサラサラしていることが多い。その日買ったものは見た目がチョークみたいでこれまで見た物とは違った。

 

話を聞くとパイセンの知り合いが密輸をやっているようで、メキシコからコンドームに入れたコカインを飲み込み日本に持ってきているというのだ。

 

胃の中に隠して密輸する手法は海外だと「コーク・ミュール」とも呼ばれる。日本だとそのまま「飲み込み」とか言うかな。

 

パイセンの作り話かな、とかその時は思った。その密輸の手法があることを後から知って作り話ではなかったと知った。

 

「吸ってみろよ」

 

コカインを机の上で崩して万札を丸める。少し弾力がありモチッとしていて硬かった。明らかにいつも見るものとは質感が違った。

 

例えるなら少し水分を含ませたチョークのような感じだ。根気よく潰さないとうまく粉にならない。念入りに潰して万札を丸め、吸い込んだ。

 

「いってきます」

 

2人同時にスーっと音を立てて吸った。


「どうだ?」
 「あーなんか良い気がするけどまだ分かんないですね」

 

少し経つと鼻から喉にコカインが落ちてくる。露骨に心臓の鼓動が早くなってきた。視界もハッキリとしている。

 

ベッド横の照明がやけに明るい。手に汗が握る。体が軽くなる。

 

「やべ、顔面の感覚が無くなってきました」

 

コカインは麻酔なので上質なものだと顔の感覚が無くなり喋り辛くなってくる。その日もらったものは間違いなく良いものだった。

 

おもむろに親友は部屋をウロウロし始めた。効いている。

 

「どっか遊びに行きたい」
「いいよ。どこ行く?」
「たまには女遊びでもしてみねえ?」
「いいね」

 

自分達は普段女遊びをあまりしなかった。女の子と遊ぶより2人で遊ぶほうが楽しかったからだ。

 

コカインを吸って良い状態になった自分達は女遊びをしようということになった。でも普通の女遊びだとつまらない。

 

自分達はエンタメ重視だった。エロがしたい訳ではなく2人で楽しい時間を共有したかった。

 

「最近アパホテルで外人が売春してるらしいぜ」

 

パイセンは言った。興味津々だ。最近大久保公園の援助交際が流行っているが、この話は5年くらい前なので当時そんなものは無かった。

 

「じゃあとりあえずアパホテル周辺に言ってみるか」

 

パイセンにお礼をして、上質なコカインを1gずつ握りしめ新大久保のホテルを後にした。そして西武新宿駅あたりでタクシーを降り、アパホテルに向かった。

 

「あいつらじゃね?」

 

今で言うトー横の周辺に外人女が集まっていた。身長が高くヨーロッパ系に見えた。容姿も悪くない。後から聞くとオーストラリア人だったみたいだ。

 

「オニーサンオニーサン」

 

来た。やはりこいつらだ。

 

「どしたの?」
「アソビマセンカ?」
「いいよ。いくら?」
「イチマンゴセンエン」
「おっけー。4人でいける?」
「4ピーッテコト?」
「別々でいいけど同じ部屋でやりたい」
「イイヨ」

簡単に交渉が済んだ。自分達はあくまでエンタメ重視だ。どうせやるなら一緒にやったほうが楽しい。そしてアパホテルに案内された。

 

アパホテルは昔から無法地帯だ。宿泊者以外でも簡単に入れる。そして部屋に入った。

 

「てかコカイン好き?」

 

トイレで隠れて吸うのが面倒くさかったのでパケを出してストレートに聞いた。その瞬間明らかに女達の目つきが変わった。

 

こいつらもコカインが好きだった。とりあえず机に白いラインを引いて4人で吸った。明らかに女達のテンションが上がり始めた。はやくやろうぜと言わんばかりだ。

 

「お前どっちの女が良い?」
「どっちでもいい」
「じゃあじゃんけんで決めようか」
「じゃんけんぽん」
「女達のケツにコカイン引いて吸おうぜ」
「映画で見るやつね」

 

吸って行為を始めたその最中、おもむろに親友が外人の尻を叩き始めた。親友はオーストラリア人の尻を左右交互にパンパン叩きながら

 

「ドラムやってるみてえだ」

 

コイツはとんだ大馬鹿野郎だ。自分は行為の最中に笑って腹がつり息ができなくなった。

 

その後のことはあまりよく覚えてない。いつも思い出すのは最高に楽しかったシーンだけが切り取られているもんだ。

 

後の記憶は取るに足らないシーン。映画と同じだ。

 

そして記憶には容量がある。中途半端な記憶から忘れてしまうもんだ。

 

でも最悪のシーンは忘れちゃいけない。その経験を教訓にしてその後生きていかなければいけない。人生は続くから。

 

 

コカインは「イケる」ドラッグだ。爽快感と万能感でなんでもできる気がする。感情の高まる方向はMDMAと似た方向だが、系統が違う。

 

そしてコカインは瞬発力が高い。ビールで例えるならプレミアムモルツではなくアサヒスーパードライだ。切れ味が合って喉に来る。

 

伝わらないかもしれないけど吸ったことない人はそんな感じだと思ってほしい。経験者は分かると思う。

 

この後、自分は酷いコカイン中毒に悩まされる。数々のコカインを見過ぎたせいもあり、見ただけで質をある程度判断できる。

 

大口の取引の際に人に呼ばれ、数種類のコカインの中から一番質の良いものを選定する、コカインの目利きなんてこともやっていた。

 

色や形状や匂いにも色々種類がある。コカインを語らせると長くなるのでまた今度にする。

 

薬物で得られる幸福感は線香花火の灯火のように儚い。快楽主義はいずれ破滅を経験する。それは遅かれ早かれ。

 

作為的に上げてしまったものは必ず下がる。自分の居るべき位置を見極めることが大切だ。

 

この言葉の意味はいつか君にも分かると思う。

 

 

 

このドラッグリポートは副作用も無く極めて事実に近い薬物接種体験を楽しむことができます。安心して服用して下さい。

※この物語は全てフィクションです。違法薬物の使用、犯罪行為を助長するものでは一切ございません。

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※必読 セッティングについて【スマートジャンキーリポート6】



 

今日は超重要な話。

 

 

ドラッグをやるなら知らないとマズい

 

「セッティング」

 

について一話丸々書いた。そしてドラッグを使わない人にも知ってほしい内容。その理由は後で説明する。

 

セットとセッティングは厳密に言うと違って、セットは思考でセッティングは環境なんだけど、ここではセッティングで統一する。

 

バッドトリップを経験しないように、しても戻れるようにと思って書いたので、最後までぜひ読んでほしい。

 

大麻含むドラッグをやる時は、好きな音楽を流せばいいとか落ち着く環境でやった方がいいとかはよく聞く話。

 

自分はMDMAを食べて部屋でヒップホップ聞いたり、LSDを食べて海で寝ながらnujabesを聴いたりしていた。

 

ただ音楽とか環境とかそれだけの知識ではまだまだ浅い。なので今日はセッティングについて紐解いていく。

 

「そもそもセッティングとは?」

 

ドラッグだから分かりにくいだけで、異性とのデートに置き換えると分かりやすくなる。

 

例えば君が好きな異性と初めてデートに行くとする。ボロボロの服装で行くより小綺麗な格好をした方が良いし

 

寝癖がついた髪の毛のまま行くよりちゃんとセットした方が良いし、車で移動するより相手が疲れないようにタクシーや車での移動が良いし

 

映画を見るなら相手の好きなジャンルを聞いてから映画を選んだほうが良いし、食事の好みも前もって聞いておいたほうが良いし

 

もし共通の友人がいたらどんな人なのか予め聞いておいたほうが良い。

 

ドラッグを摂取する行為は

 

「自分とドラッグのデート」

 

だと思ってほしい。デート相手はドラッグなのだからドラッグの性質をまず理解する必要がある。好みの異性がどんな人間なのかを下調べするのと全く同じ。

 

相手がどんな人間かも分からないで、楽しいデートができるわけがない。なのでドラッグについてよく知ること。

 

今日は全てのドラッグに共通するポイントを記載していく。ドラッグごとの注意点は各ドラッグの初体験を語ったあとにまとめて記載しようと思う。

 

それではここから「セッティング」とは何なのかを紐解いていくセッティングとは?という問いに対する自分なりの答えは

 

「五感を心地良い状態にすること」である。というのも、人間の感情や行動は五感によって動かされることが非常に多い。

 

散らかった部屋を見て、嫌な気分になるのは視覚から来ているし曲を聞いて、懐かしいなという気分になるのは聴覚から来ているし

 

美味しいご飯を食べると、満足した気分になるのは味覚から来ているしアロマの匂いを嗅いで、心が落ち着くのは嗅覚から来ているし

 

温かい毛布に包まれると、ぬくもりで安心するのは触覚から来ている。

 

これらを満たしてあげれば心地よい状態で過ごすことができる。

 

これはドラッグに限らずシラフの時にも通ずる話だから。

 

その上で大事なことは以下のポイント。

 

・心身共に健康なときにドラッグは摂取する
・誰かとドラッグをやる場合は、必ず心の通じた人間とやる
・初めてならなるべく経験者と一緒にやる
・慣れていない時は、家などの安心できる環境で摂取する
・もし外に出るならドラッグを持ち歩かない
・部屋でやるなら部屋を綺麗にする
・何かに追われていたり、時間がない時はやらない
・安心する音楽や映像を流す
・水分をよく取る。脱水状態を甘く見るな
・必ず元の状態に戻ることができるということを心得ておく

 

たくさん上げたけど、こんなところ。ここに上げたことは必ず守ってほしい。友達にもこの内容を教えてあげてほしい。

 

これは自分のセッティングだから、もし自分とセッティングと違っても問題はない。人に合ったセッティングもあるはずだから。

 

そして心掛けてほしいのが「ドラッグに遊ばれてはいけない」ということ。

 

ドラッグとのデートとは言ったけど、あくまでドラッグを使うのは自分。異性とのデートと同じで、自分がデートを楽しまなければ意味がない。

 

 

そうは言ってもドラッグユーザーである以上バッドトリップを経験する時は必ずくる。そんな時はどうすればいいか?

 

1人でいる時か複数人でいる時かでも対処法は変わっては来るが、共通して自分が大切にしていたことは

 

・まずは深呼吸
・心の通じた人間と話す
・もし複数人で居て、その場に苦手な人間がいたら離れる
・水分と糖分を取る。H2Oとラムネがいい
・落ち着いた音楽や映像を流す。海とか自然の映像やBGMが良い
・窓を開けて空気を入れ替える
・最悪デパス等の抗不安薬を摂取する
・これをやるとバッドトリップから戻れるという「何か」を前もって決めておく

 

最後の「何か」は人による。安心する行動なら何でもいい。例えばシャワーとかね。必ずバッドトリップからは戻ってこれるので心配しないでほしい。

 

そして人間は自分の状態を話すと安心感を得られる生き物。なのでまずは心のおける人間に自分の状態を話すことをおすすめする。

 

話すことで自分のことを客観視できて落ち着くことも多々ある。では一緒にドラッグをやっていた相手がバッドに入った場合はどうすればいいか?


・絶対に焦らない
・ハグをしてあげる
・大丈夫だと言ってあげる
・絶対に戻れると教えてあげる
・肯定してあげる
 

これらを覚えておいてほしい。

 

自分は違法ドラッグのオーバードーズをよくしていた。

 

過呼吸で息ができなくなったり、外に出たら警察に捕まるかもしれないと思い込んだり、記憶がほぼ無くなりかけたり、大きなバッドトリップを何度か経験したことがある。

 

 

その時に親友にこの方法で助けてもらった。親友のおかげで自分を取り戻すことができた。この話もまた今度しようと思う。

 

 

最後に

 

自分はドラッグの使用を助長したいという気持ちは一切ない。ドラッグをやらない方がいい人もいる。

 

とはいえ、ドラッグは君が思っているより身近にある。ドラッグをやらない人でも、友達はやっているかもしれない。

 

誘われることだってあるかもしれない。その時にやるならやる、断るなら断るというのはちゃんと決めた方がいい。

 

やるのもやらないのも自由。

 

だけど一度持ってしまった興味は誰にも止められないということも身を持って知っている。

 

中には扱い方が難しいドラッグもある。救急車で運ばれたり、逮捕されたり。

 

最悪ドラッグが引き金になって死ぬ可能性すらある。

 

日本はドラッグの情報がまだまだ少ない。Twitterを見ても平気で誤った情報を発信していたり、そもそも求めている情報がないことも多い。

 

ドラッグと言っても結局は薬なのだから、使い方によっては薬にも毒にもなり得る。眠剤だってお酒だって同じ。薬には使い方がある。

 

 

このドラッグリポートは副作用も無く極めて事実に近い薬物接種体験を楽しむことができます。安心して服用して下さい。

※この物語は全てフィクションです。違法薬物の使用、犯罪行為を助長するものでは一切ございません。

Twitterではドラッグに関する役立つ知識を発信しています。是非フォローしてください。
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LSDが教えてくれるのは「ヒント」【スマートジャンキーリポート5】

 

 

「自由って何だと思う?」

 

 

それは時間があることだとか働かなくていいことだとか何かに縛られないことだとか

 

人から指図を受けないことだとかそんなたわいもないことをワンルームの部屋で親友とよく話していた。

 

自分達は答えのない会話をするのが好きだった。それは会話をするための会話であり、何か正解を求めていたわけではない。

 

人生を彷徨っていた自分達にはお似合いだった。家では基本的には大麻を切らさないようにし、質の良さそうなものがあったら補充するというルールだった。

 

ただその日は残りが少なくなっていた。せっかくの週末なのに残りの大麻が少ないのは大問題だ。

 

「そろそろ草無くなるけど、ヨコヤマに電話してみる?
「まだ仕事だから連絡しといてほしい」
「何個にしようか?」
「10個は欲しいよな、あとアレも聞いといてよ」
「オッケー」

 

早速ヨコヤマに電話をした。いつもはワンコールで出るはずのヨコヤマがその日は出なかった。


「ヨコヤマ今日休みかも」
「まじか。とりあえずもうすぐ帰るよ」
「オッケー家で待ってるわ」

 

プッシャーの都合で大麻が引けないタイミングがたまにある。自分達は末端購入者の癖にグルメな方だったので、変なところに注文して質の悪いものを取りたくなかった。

 

なので親友が帰宅してから身内を探し始めた。とはいっても自分には大麻を吸う身内が親友しかいなかったので、親友が探してくれた。

 

「後輩が持ってるらしいから分けてもらおうぜ」
「それは助かるな」
「一緒に行こう。良いやつだから紹介するよ」

 

それから支度をして2人で五反田に向かった。後輩の家は目黒川沿いのマンションだった。部屋に入るとボングが置いてあった。

 

「ちーす。初めまして。よろしくです」

 

後輩は歳が2個下。話を聞くと親友が大学生の時にキャッチのバイトをしていた後輩だそう。

 

少し不良っぽい感じだ。後輩はガタイが良くて目つきが鋭かった。部屋についてからひとまず3人で大麻を吸った。


「美味いねこれ」
「なんていう品種?」
「ガールスカウトクッキーってやつです」
「可愛い名前だ」

 

なんて話をしていた。初めてのガールスカウトクッキーは焼き菓子のような、少し甘くて香ばしい味がした。美味しかった。


「実は今日これも持ってて、欲しいですか?」
「なにそれ?」

 

銀色のアルミホイルに包まれたものを後輩は出してきた。LSDだ。巷ではアシッドや紙やマゲとも呼ばれる。

 

ヨコヤマからちょうど次はLSDを取ろうという話を2人でしていたところだった。

 

自分達は二つ返事で頂いた。そして後輩とは別れて、タクシーに乗り込み家に帰った。

 

実はこの後輩は後々大麻栽培を手伝うことになる。それはまた後の話。

 

家に帰り、アルミホイルを開けると小さな紙が入っていた。何かの模様が描かれていたが、何の模様かは分からなかった。

 

※LSDを摂取する上でのセッティングについては、1話分丸々使って書きたい内容なので今回は摂取体験のみの話とさせていただきます。

 

※LSDは摂取する際の大事なセッティングや注意事項が多々あります。

 

それらを知った上で使わないと大変危険なドラッグです。万人にオススメできるものではありません。

 

「唇の下に入れておくって言ってたよな」

 

これも舌下投与だった。恐る恐る口の中に入れた。味はない。紙を口に入れておくのは何か嫌な感じだ。少し経つと紙がふやけてきて、飲み込んだ。

 

それから、1時間くらい経ったころだろうか。iPhoneを確認すると文字が少し動いて見えずらい。

 

「なんか少し視界が歪んできたんだけど」
「だよな、壁が動いて見えてきてる」
「それに時間の感覚もおかしくなってきた」
「そういえば食べてからまだ1時間しか経ってないのか」

LSDの作用で最も一般的に知られている、幻覚や時間感覚の欠如が表れてきた。俗に言う「曲がった」状態だ。

 

「ジョイント巻いて外にでも出てみようぜ」

 

外に出ると太陽がやけに眩しく感じた。いつもと違って視界がおかしく感じる。自分達はいつも通り世田谷公園へ向かった。

 

知っている道のりのはずなのに何故か初めて通る道かのように思えた。

 

「てか全然着かないんだけどなんで?」

 

そんなことを言いながら公園に向かっていた。LSDは時間の感覚が麻痺する。

 

遠近感が分からず、摂取してから時間がどれくらい経過したかも分からない。

 

すごく不思議な感覚だった。やっと公園に到着した。

 

「あーやっと着いたな、ちょっと歩いてみるか」

 

ふと木に目を向けると生きているように見える。空がこころなしか自分たちを見守っている感じがする

 

風も心地よい音を奏でている。芝生がやけにご機嫌なように感じる。滑り台のキリンは楽しそうにしている。

 

遊具のパンダなんて確実にこちらを見ている。目が合うと

 

「僕と遊ばないか?」

 

と誘われているようだった。やや奇妙にも見えたので遊具はやめてとりあえず公園の中央にあるベンチに座った。

 

親友に目を向けると噴水を見ながら手すりにもたれ、動かなくなっていた。

 

「大丈夫かい?」
「大丈夫」
「お前さっきからずっと噴水見てるよ」
「おお、水飛沫から目離せなくなってた」
「たしかに水ってよく見るとすげーな。ずっと見てられる」
「そういえば食べてからまだ1時間しか経ってないのか」

 

流れている水。流されている水。浮かんでくる水。ぶつかっている水。穏やかな水。水にも色んな水があるんだなと感じた。

 

水には普段自分には見せない色んな表情があった。水には「柔軟に生きろ」と教えられた気がした。

 

水も生きているのだ。

 

「そろそろジョイント吸って帰ろうぜ」
「そうだな」
「吸ったらまたすごいなこれ、そっちの調子はどう?」
「最高に決まってる」

ジョイントを吸うと頭が開けたような感覚があった。最高以外の言葉が出てこなかった。

 

そして自分達は日も暮れてきたので帰ることにした。最終的には帰る道がわからなくなってしまい、家の周りを何度も何度もぐるぐる回っていた。

 

ただそれさえ楽しかった。いつもの公園に行っただけなのに、アマゾンの奥地にでも行ったかのような大冒険をした気分だった。

 

くだらない日常に大きな衝撃を与えてくれた。LSDは普段気が付かないことを教えてくれる。物事の見方が変わる。

 

ただ、LSDが教えてくれるのは「ヒント」

 

だからLSDを接種して悟ったなんて言葉は使わない方がいい。

 

あくまでもLSDがくれるのはヒントだ。そこから答えに辿り着けるかどうか、結局のところは自分次第。

 

自由とは今聞かれたら、選択できることだと答える。

 

自由な時間があることでも、働かなくていいことでもない。選びたいものを選べる自分になることが自由だ。

 

自由に生きるためには選択肢を増やさなければいけない。そのためには知識や経験を増やして自分の可能性を知る必要がある。

 

自分はLSDを経験して良かったと思っている。あらゆるものが新鮮に感じた。

 

日常を退屈にしているのは誰でもない、自分自身だということに気づけた。

 

初めてのLSD体験は鬱蒼で窮屈で凝り固まった価値観をぶち壊してくれた。

 

 

 

このドラッグリポートは副作用も無く極めて事実に近い薬物接種体験を楽しむことができます。安心して服用して下さい。

※この物語は全てフィクションです。違法薬物の使用、犯罪行為を助長するものでは一切ございません。

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小さな錠剤には幸せが詰まっていた【スマートジャンキーリポート4】

 

 

「お前となら何でもできる気がする」

 

 

親友と部屋で大麻を吸いながら「青い春」という映画を見ていた。この映画は自分達が十代の時に一緒に見たことのある映画。松田龍平や高岡蒼佑が出演している青春映画だ。

 

「幸せなら手を叩こう」

 

と落書きの描かれた学校の屋上で柵の外に立って手を叩いた回数を競う"ベランダゲーム"を行い、失敗すると校庭に落ちてしまう。という、道のない未来へ進みつつある不安定な不良達を描いた話。

 

当時自分は無職だった。この時は24歳くらい。会社からボーナスを貰ったタイミングで辞めた。

 

学生の時に水商売のスカウトをしていて、そのおかげか貯金があった。親友は広告関係の仕事をやっていた。

 

ルームシェアなので生活費はあまりかからなかったし、ドラッグ遊びをやるくらいの余裕はあった。もし手持ちが無くなったらまた適当に考えればいいと思っていた。

 

この日は新宿のヨコヤマのところに行き、新しいドラッグを入手しに行った。パケに入った紫色の毒々しい色をした錠剤。MDMAだ。

 

後から調べたところ、その錠剤は、「パープルマセラッティ」というMDMAだった。

 

MDMAを摂取し始めてからはよくEcstacy DataというサイトでMDMAのことを調べていた。今このサイトはDrugs Dataという名前に変わっている。

 

まず最初にMDMAの注意点を上げておく。


・半分食べて1時間ほど様子を見る
・足りなかったらもう半分食べよう
・気分が悪くなったら動かず安静に
・空腹で食べると胃が悪くなる
・だが、強く効かせたいなら空腹がいい
・もっと強く効かせたかったら2〜3個食べよう


・ウィダーとキャベジンを飲むと胃のダメージが軽減される
・吐きたくなったら吐こう。吐いた後は調子が良くなる
・水分不足になること多々。たくさん水を飲め
・遊び終わったら風呂に入る。半身浴がいい
・寝る時は草と眠剤や抗不安薬(デパスなど)

 

少し多いけどこんなもんかな。またセッティングとかは詳しく書く。あとは死ぬ気で楽しもう。

 

ドラッグユーザーが周りにいなかった自分達はネットでドラッグの接種方法や作用や体験談などを調べていた。MDMAの作用には多幸感と書いてあった。

 

多幸感。よく分かんねえな、と思った記憶がある。そしてその日はネットで拾った知識を元に空腹の状態で舌下投与をした。

 

舌下というのは下唇の中に入れてMDMAを溶かして吸収させるという方法。今考えるととんでもない方法だ。

 

というのも、MDMAはめちゃくちゃ苦い。この世にある口から摂取するものの中で、苦さランキングがあれば三位以内には確実に入ると思う。

 

考えただけで憂鬱な気分になるくらい苦い。化学薬品の味なんだろうけど、他には例え難いくらいだ。しかもこの方法で接種すると下唇がただれることさえある。

 

「溶け切るまで我慢しろよ」

 

唇の中でMDMAが溶ける時間は地獄だった。それでも我慢した。MDMAをより強く効かせたかった。

 

溶け切ったあとは机の上にあったコーラを飲んで胃に流し込んだ。飲み込んだ後の口の中はとても苦くて気持ち悪かった。

 

「クッッッソまずいなこれ」
「ちゃんと我慢したか?」
「当たり前だろ」

 

30分くらい経ち、体がやけにフワフワとしてきた。足が浮いている感覚。

 

「ちょっと気分悪くなってきたからトイレ行ってくるわ」

 

親友はそう言ってトイレに行った。MDMAを接種すると嘔吐することがたまにある。自分は吐き気はなかったが、体が熱くなり少し発汗してきた。

 

さっきまで気持ち悪そうにしていた親友だが、トイレから戻るとケロッとした顔で戻ってきた。

 

「吐いた?水いっぱい飲んだ方がいいよ」
「全然大丈夫。めっちゃ元気になってきた」
「良かった」
「なんか動きたくなってきたな」
「外にでも出てみる?」
「いいね行こう」

 

ソファーから立つと浮遊感が凄かった。本当に体が浮いているみたいだった。そして自分達はいつも通りジョイントを巻いて世田谷公園に向かった。ノーザンライトだったかな。

 

体の感覚が普段と違い、上手く歩けなかった。しかも照明がやけに眩しい。その日の公園はいつもとは違い、やけにキラキラと輝いている。瞳孔が開いていたのかな。

 

公園に着いたところで親友はジョイントに火をつけた。

 

「調子はどう?」
「めっちゃいいわ。お前は?」
「最高」

 

MDMAと大麻は相性がとても良い。体がさらに軽くなり、MDMAの作用が増幅されるような感覚。そして何故か大麻を無限に吸えてしまう。喉もいつもと違って痛くない。味も普段より美味しく感じるのだ。

 

そしてまたフラフラと2人で歩いた。1〜2時間経つとMDMAの効きがピークになり、目の焦点が合わなくなっていた。これが俗に言う目ブレだ。

 

2人で公園の遊具を片っ端から遊んでいった。幼い頃に戻ったような感覚がした。

 

ブランコに乗った時なんてMDMAの作用である浮遊感と相まって空に吹っ飛ばされるんじゃないかと思った。体が尋常じゃなく軽かった。

 

空は星が綺麗で見上げると吸い込まれるような感覚がした。最高の気分だった。

 

一通り遊具で遊んだ後は疲れてしまったので、家に帰った。部屋に戻ってからは大麻を吸って先ほど途中まで見た「青い春」のラストシーンを見た。

 

そのシーンを真似して手を叩く親友を見たら何故だか面白くなって腹を抱えて笑った。気がついたら6時間くらい経っていた。時間がすぎるのはあっという間だった。

 

小さな錠剤には幸せが詰まっていた。初めてのMDMAは背中に羽が生えたみたいで終始心地が良かった。

 

この頃、将来のことには無頓着だったしどうでもよかった。今が楽しければ何でもいいと思っていた。でも一才悲観はしていなかった。親友と一緒なら何でもできるはずだと思っていたから。

 

確かにあの時の自分達には何でもできたはずだ。MDMAの抜けは他には形容し難い、虚しいような、寂しいような、何かに置いていかれるような感覚がする。

 

小学生の頃、夕方まで友達と遊んでから家に帰る時の、まだ遊びたいのに帰らないといけない感覚に凄く似ている気がした。

 

この感覚はどことなく、人との別れを経験する時の感覚と似ている気がしてとても切なくなる。苦手な感覚だった。

 

 

 

このドラッグリポートは副作用も無く極めて事実に近い薬物接種体験を楽しむことができます。安心して服用して下さい。

※この物語は全てフィクションです。違法薬物の使用、犯罪行為を助長するものでは一切ございません。

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